3.《ネタバレ》 ティーン向け小説の映画化で3部作の1部目とか、コレ絶対ダメなヤツじゃん!って思ったのですが、意外にも面白くて。
このテの何部作モノ映画って最初に設定の説明を延々とし始めるような、いつになったら本題に入るのよ?ってシロモノが多かったりするのですが、コレは主人公が記憶を失っていて、一体そこがなんなのか全く判らないという設定。観客は主人公と共に物語の進行によって世界を知ってゆく構造になっています。ロールプレイングゲームによくあるテではありますが。
しかも、主人公が訪れた事でそれまでの世界に変化が訪れ、更にこれまで若い男だけだった世界に最後の一人としてヒロインが現れて更なる波乱を生んで、といった感じでどんどんと状況が転がってゆきます。「一体どうなっているんだろう? これからどうなるんだろう?」という興味がずーっと続いてゆく状態ですから、映画に対する意識の集中が途切れてしまう事がありません。
で、「このダンジョンの中だけで3作かけて延々出口探しするのかいな? 中でグダグダと人間同士の葛藤のドラマとか見せられちゃうのかいな?」と思っていると全然違って。葛藤はあっても状況が追いかけてきますから、物語はどんどんと先に進みますし、この映画だけでひとつの完結を見せ、また次なる展開へと続いてゆきます。最近の邦画の何部作モノにありがちな、儲け出すために分けました的な、1本では全然成立していない内容の薄い作品と違って、ちゃんと映画1本見た、っていう満足感はあって、そして続きも見たい、という気持ちになって。
難点としては主人公がワリと軽率に行動する系であまり共感できず、むしろ悪役になっちゃう保守的な少年の言う事に一理あると思ってしまう点ですか。あと『ハンガーゲーム』に似た部分が結構ありますね。
外へ外へと向かってゆく、どんどん開かれてゆこうとする物語のベクトルには気持ち良さがあって、見る前に抱いていたイメージと違って、なかなかに侮れない作品でした。