20.東銀座の東劇にて「旅の仲間」と「二つの塔」のそれぞれのSEE版を通して観てきました。
さすがに7時間超を通しで見るのはかなり疲れるけど、満足のいくいわゆる心地よい疲れでした。
「SEE版」と「劇場公開版」ではこんなこと言っては悪いけど雲泥の差があると思う。
劇場公開版は、自分のような原作を読んでいない者にはかなり分かりづらい部分があったが、SEE版ではそれが解消されており、かつそれぞれのキャラクターの内面等が深く感じられる作品になっている。
特にボロミアについては深く掘り下げられていると感じる。
彼には人間らしい優しさ、弱さ、強さ、誇りの高さが感じられた。
メリーとピピンに剣を指導したり、ふざけあう姿や、ガンダルフがバルログに地下に引きずり込まれ、皆が落胆しているときに、アラゴルンが「急ぐから早く立て」という言葉を聞いて、「少しは皆を休ませろ」というシーンには優しさを感じる。
そして、自分の国を立て直したいがために指輪の力に魅せられていく姿とその心を読まれていると感じて何も言えなくなっているガラドリエルとの対面シーンには心の弱さを感じる。
さらに、フロドに自分がしたことを悔いて、恥じて、それに報いるためにも必死にメリーやピピン達を助けようと剣を振るう姿には強さや誇りの高さを感じた。
逆にアラゴルンは、先祖の人間としての弱さを知っており、その弱さを克服している人間だから、やや人間的な面白みには欠ける。
ストーリーに関しては、このミッションがフロドにしか出来ないことを改めて感じた。
身体は小さくても勇敢でタフで、権力というものに興味がなく平和や静けさ、食べることを愛するホビットで特にフロドにしか出来ないことである。
そんなフロドが仲間を疑かったり、信じられなくなったり、仲間内で争いが起きることに耐えられなくなり、一人で旅をしよう決意するのも丁寧に描かれていた。
また、フロドと共に旅をするサムの決意が決してガンダルフに言われたから共に旅をするのではないことも感じられた。強い尊敬心や友情に支えられてのことだろう。
フロドやサムだけでなく、それぞれがそれぞれの使命があり、宿命があるとも感じられる。