44.《ネタバレ》 正直この作品が映画として優れているのかどうかはよく分かんないけど(前半はかったるかったし)、ラスト20分はショッキングだったなあ。惨劇をドラマチックに描くのではなく淡々と描いてるのも迫力あったし、“彼ら”の最初の犠牲者になるのが、彼らと同じように周りから馬鹿にされている女の子だったという点も、重い。ところで、少し前日本で十代の凶悪犯罪が続発し「十代の心の闇」なんて言葉がよく聞かれた頃、あるニュース番組で十代の人たちを対象とした「あなたは人を殺したいと思ったことがありますか?」というアンケートの結果が紹介されていた。細かい数字は忘れたのだけれど、確か3割位が「ある」と答えていて、ニュースキャスターが「こんなに多くの人が殺意を・・・!」と驚いていたのだけれど、僕は逆にそのキャスターの反応に驚いてしまった。僕は少なくとも9割位の人が「ある」だろうと思っていたから(だから僕は「日本って思ってたより平和なんだな」と思ってしまった)・・・こんな事を言うとアレかもしれないけれど、僕の十代のある時期、ある瞬間、もし銃が手の届く所にあったなら、ひょっとして、ひょっとしたかもしれない、と思う。僕には、それまで惨めな思いを抱き続けていた“彼ら”が銃を手にした時に感じたであろう「高揚」が、ちょっと想像できる。「これで世界は自分たちのものだ!」という、危険で、おぞましく、しかし甘美な戦慄、絶頂感・・・勿論僕は、彼らの行為を正当化するつもりなんて毛頭ない。ただ・・・もし彼らが手にした武器が「銃」でなかったら、例えば故カート・コバーンがギターを手にし「やあ、こんにちは。どんだけ最低だい?」という「銃弾」を世界に発したように、何か自己表現の手段を手に入れていたら・・・と、思わずにはおれないのです。一部の大人は大騒ぎしてたけど「心の闇」なんて別に驚く物ではないし、突然現代に現れた病でもない(だって「源氏物語」にも、嫉妬心という「心の闇」の力で恋敵を呪い殺す話とか出てくるもん)、誰の心にもある物で(それを意識するかは別として)、消し去ったりする事は出来ない、と思う。でも、それを克服して、自分の中に封じ込めたり、違う形に昇華させる事は、何とか出来ると思うんだよね。ル=グィンの「ゲド戦記」で、主人公ゲドが自分の影と戦いながら、最後には抱きしめ、受け入れたように、ね。 【ぐるぐる】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-06-06 16:21:54) (良:1票) |
《改行表示》43.《ネタバレ》 生徒たちの背後から、淡々と彼らの日常を追うことで、「誰もがこの事件の主役になり得る危険性を内包している」とか、「傍観者の罪」とでも言いたいのか。 そういう捉え方も分かるけど、こうした凶悪事件の特殊性を相対化しているようにも見えてしまう。思想的メッセージを押し付けることなく見る者に解釈を任せるのも良いが、無責任な撮り方とも言える。「少年犯罪の考察」に一石を投じたいなら、今回の「事件の背景」をきちんと作中で説明しなくては意味が無いだろう。もし情報の無い人が見れば「最近の少年犯罪は不可解だな~」で終わってしまうからだ。 結局、どんな異常な事件にも原因となる「背景」はあるし、人を犯罪に駆り立てる要素はひとつやふたつではなく、多くの因子が有機的に関連しているものだ。 今回の事件に関して言えば、アメリカでは平等とは名ばかりで、歴然とした階級・学歴差別が存在していて、その本音と建て前のギャップに少年たちが強烈なストレスを感じていたという背景がメインにあると思われる。 「ここで落ちこぼれたら先が無い」と思い込んで、投げやりになってしまうような閉塞感と絶望感。仮に落ちこぼれなくても、先が知れている無味乾燥な将来への諦観と無気力感。また、差別意識から来るいじめ、銃が簡単に手に入る社会の構造など、考えるべき問題は山ほどある。それは日本の現状にも言える事だが、少し冷静に分析すれば、「原因」自体にはそれほどの異常性も特殊性も無いのが分かるはず。 案外、一番の問題は、こういう事件が起きると、すぐに狼狽して「真の犯人探し」を始めて、やれ「暴力的なゲームが悪い」だの、「ホラー映画が悪い」だのと狼狽している洞察力や想像力の無い大人の存在こそが、いつまでも現代社会の閉塞状況が改善されない最大の要因かも知れない。 社会問題を考えるきっかけとするには適度な「教材」ではあるので、点数は真ん中の5点ということで。 【FSS】さん [DVD(字幕)] 5点(2005-05-26 04:37:17) (良:1票) |
42.この映画に対しては良いとか悪いとかではないようなきがする。ただ単にそこで起きた銃乱射事件前のそれぞれの人物行動を同時間で描写しただけ、物語的なところは無く普通の高校生活がそこに有る、それだけに銃乱射の直前は恐ろしくもある。何故彼らは銃乱射事件を起こしたのか?それさえ詳しく描かれていない。ただ単に銃で人を撃ってみたいと思っただけの描写!ゲーム感覚で人を撃ちたいと思い立っただけの描写が逆に恐ろしい。アメリカは銃社会なので、銃での無差別殺人が取り糺されるが、日本も同じようなもの凶器が銃で無いだけ。それがどうしたとかではなく、そういう時代なんだとつくづく思う。 【みんてん】さん [DVD(字幕)] 6点(2005-05-03 10:14:53) |
41.引き付けるものはあるけど、あっさりしすぎ。なんか皆可愛そうな人ばかりだ。 【miso】さん [DVD(字幕)] 5点(2005-04-18 22:28:10) |
《改行表示》40.《ネタバレ》 最初10分間ぐらいこの映画を半ば眺めるように観てた時の感想ははっきり言って「なんでこの映画がそんな評価高いんだろう?」てなもんでした。なんか普通の生徒が校舎の中を歩いてるシーンとか友達との会話とかそんなのを淡々と見せられてるだけだったので。しかし後になってそれらのシーンは全て来たるべきラストにかける布石だったのだと思い知らされました。前半までのシーンが全て「日常的」だったが故に、それはもうショッキングでした。ある意味『ボウリング・フォー・コロンバイン』よりこっちの方が銃社会に強いメッセージをはらんでるような気がします。だってあんな簡単に通販で銃買えちゃうんですもんねえ・・・。 改めてアメリカって怖いって痛感しました。理由としては、「一般人が銃を持てる。」もうこれだけで充分ではないでしょうか?だって日本ならどんなに学校内での苛めがひどかったって銃は乱射しませんもん。そんなもん誰も持てないし、持とうと思うやつもいないし。 アメリカでは「自衛のために持つんだ」なんて理由で銃を所持するそうですがそれなら日頃から体を鍛えて枕もとには防弾チョッキでも置いとけと思う。家族の分も。いくら「自衛のため」といっても所詮便宜上の理由にしか過ぎず、キレた人間が持てばただの殺人凶器。そのキレた人間を止めるためにまた銃が必要になる。これを悪循環と言わずしてなんと言おう。まあここまで銃が出回ってる今となっては規制も難しいんだろうが。この点だけは自信を持てる。「日本を見習え。」 充分この映画のメッセージは伝わりました。 【TANTO】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-04-01 21:31:47) |
39.コロンバイン高校の銃乱射事件は、「フィクションを超えた現実」だった。この映画がこの形で観客の前に現れたことが、私はすごく嬉しい。「ボーリング・フォー・コロンバイン」のような、べっとりとプロパガンダが塗りたくられた映画はもううんざりだったからだ。「エレファント」は静かに、しかし激しく私たちに問いかける。この迫力に説明はいらない。 説明のない衝撃は、気持ちの矛先をどこに向ければいいか困らせるだろう。しかしそれこそが、この映画の唯一のメッセージ。私たちは答えに導かれることに慣れてしまっていて、「エレファント」の前ではただオロオロするばかりだ。 【337】さん 10点(2005-02-03 06:06:30) |
38.ん~~~~・・。現実感に欠けるが・・どうしたものやら 【ばかぽん】さん 6点(2005-01-29 06:55:19) |
《改行表示》37.どんな感じなんだろ!?ってすごい期待して観ちゃったから ちょっと失敗感あるけど、突発的なものじゃなく計画された上での事 だったんだ、ってのを知らなかったからそれにはびっくりしました。 なんかドキュメンタリーっぽくてこれって演技なの??とか 思っちゃった(笑 最後はえ!?これで終わり!?とか思い ちょっと不完全燃焼な感じでした。 【あみ】さん 5点(2005-01-28 01:22:15) |
36.なぜ、こうなったのかという内面を掘り下げるのではなく、ただ淡々とそこでおきた出来事を映すのみ。でもそこに引き込まれてしまうんだよね。 【tantan】さん 7点(2005-01-20 08:20:48) |
35.同世代の私の目から見るとかなりリアルで衝撃を受けた。なぜ彼らがあのような行動を取ったのかは分からない。だけど、一番辛く苦しかったのは、被害者でもなく、最後には自殺してしまった二人なんじゃないかな。 【アンナ】さん 8点(2005-01-17 22:21:48) |
|
34.《ネタバレ》 静かな雰囲気はまさに嵐の前の静けさだった。始めは登場人物の設定に疑問を感じ、一体誰が主人公で、一体誰から見たストーリーなのかもわからず戸惑ったが、終盤でのあの残酷な展開によって、登場人物全てが主人公であり、被害者である事がわかった。しかし、この映画を見終わった今、一体何について感想を書けば良いのかわかりません。ただただ残酷過ぎて呆然と画面を見続ける事しか出来ず、怒りの感情すら沸いて来ませんでした。ただ、アメリカという国の、子供でも簡単に拳銃を手に入れる事ができる社会の仕組みに呆れるばかりです。このような悲惨な事件が二度と起こらない事を願っています。 【ボビー】さん 6点(2005-01-15 00:59:06) |
33.「切り取られた悪夢みたいな日常の一コマは、極力味付けをせずに様々な角度から捕らえた。さぁ、ここからは観客である君等が思慮したり論じてくれたまえ」と、言われ(私的には、そんな風な監督の声が聞こえた気がした)ても、困る。ちょっとテーマ性を丸投げ過ぎじゃないか?食べ易くカットしてくれないのかな?否、観る側の私たちが楽をし過ぎているだけなのか?ん~・・・この映画を観て感じた事は、このレビューに載せるべきではないので、割愛したほうが良さそう。監督が私達に放り投げたモノのデカさは、確かに「エレファント」級かもしれない。が、何より重い。重苦しい。っていうか、こういう「映画」って、そもそもアリなのか?とかも、思った。 【aksweet】さん 5点(2005-01-10 00:42:22) |
【k】さん 8点(2005-01-09 15:24:46) |
31.本編中、ほんの一瞬だが“彼ら”の部屋に“象”の絵が飾られているシーンが登場する。幼い頃に貼られたものだろうが、さり気ないだけに余計意味深いものを感じてしまうシーンだ。この作品のタイトルにもなっている“象”とは“彼ら”にとって、強大で脅威の存在であり、おそらく畏敬の念を抱いていたに違いない。そんな頃の“彼ら”と無差別に殺戮を繰り返す“彼ら”とが同じ人間だとは思いたくもないが、もしそうだとするならば何が“彼ら”を変えてしまったのだろうか。 いかにもマズそうに食事をする“彼ら”の専らの関心事は、食べる事よりも銃器を手に入れる事。ネット通販などで誰でも簡単に入手できるというシステムの盲点と、開拓時代からの悪しき伝統である銃社会アメリカの現状には戦慄を覚えるばかりだが、映画はここで極めて基本的な問題を投げかけてくる。引き金を引くにはランボーのようなマッチョな男など必要なく、青年というにはあどけなさがまだ残っている、いかにもひ弱なイメージの“彼ら”でも十分なほど簡単であり、あとは憎しみを抱き続けさらに激情へと変換していけばいい。そぅ、何処にでもいる誰にでもその可能性は秘めている。ヒトを殺したい・・。憎しみを抱いている奴をこの世から抹殺したい。誰しもが一度は心に思い描く偽らざる気持ちであり、ひとたび銃器を手にすれば虜になってしまう。まるで麻薬のように・・・。人間とはかくも弱いものなのであり、その隙間へ日常に潜む悪魔が忍び込むという社会の危うさを考えずにはいられない。殺戮を“淡々と仕事をこなしている”ようなイメージで描かれる“彼ら”には歯止めが利かず、もはや狂気という言葉すら意味を持たなくなっている。それほど終盤の描写には迫真力の生々しさ以上に、吐き気を催すほどのリアルさを感じるが、ただカメラ位置を変えてのリテイクには、その印象付けのあまり、オーバーアクションになったのが興醒めでもある。 【ドラえもん】さん 7点(2005-01-05 00:28:27) |
30.《ネタバレ》 主観を置かず、たくさんの事象の積み重ねで問題提起するというアプローチだそうだが・・・なんかねぇ、どうでもよすぎない?本当にある高校のただの日常を描いていて、たまたまそこで乱射事件が起こったとしか感じられないんだな。いきなり交通事故に遭った様なもので、事件を知らない人がこれを観てもせいぜい「突然の事故には気を付けよう」ぐらいしか思い浮かばないと思う。あのくらいの濃度の日常を積み重ねるならもっと数重ねないと。そうすれば何か見えてくるものもあるんじゃないだろうか。安易な犯人探しや叙情的な感情表現は嫌いだけど、何気ない日常全てに重要な意味があるというのも勘繰り過ぎだと思うよ。で、映画と関係ないんだけどDVDの監督インタビューを見ていて少し腹がたった。歩くシーンが多いのは観客に考える時間を与えたかったということだが、映画を観ている時に考える時間なんてのは必要ないだろ。感じることが大事。考えるなんてのは見終わった後にするもんだ。そうか、だから観てて退屈なんだな。それとやたら「慣例」という言葉を持ち出して「この映画はその慣例を無視した」と言う。が、そんなものはお前が慣例と思ってるから慣例なんだろ。撮りたいように撮ればいいじゃないか。そんな窮屈な映画作りを今までしてたのか?なんか優等生の愚痴と自慢を聞いているようで嫌な気分になりました。 【まこと】さん 5点(2004-12-19 17:51:27) |
29.これまた評価に困る映画ですねぇ。演技ってたいていリアクションじゃないですか。これはリアルを追求してるから全然リアクションに乏しいんですね。反応が薄いのなんの。それで素人を使ってるわけだ。それが功を奏してリアリティがよく出てるんだろうけど、そのせいで僕は映画の内容よりも、映画というもの自体についていろいろ考えてしまいました。ただのフィクションならいいんだけど、これは実際に起こったとってもシリアスな事件をもとにしてるわけですから。実際の映像っていうものがあるわけですよ。監視カメラの映像が。それ見てる方がよっぽど怖いんじゃないのかしらと思うんです。いくらこれをリアルに見せても、所詮劇映画ですからね。その、なんていうの、ただの劇映画だからこそ安易に感想をだしたくない自分ていうのがいるんですよ。だから評価に困る。 【あろえりーな】さん 6点(2004-12-19 00:28:02) |
28.《ネタバレ》 面白かった。同じ瞬間を別の視点で何度も交差するところとか、一人の背中をずっと追っていくシーンも面白かった。犯人のサスペンスがかっていない描写もよかったし、冒頭の空が速いのに音が普通ってのも面白かった。ただ最後の終わりかたがちょっと趣味じゃないけど。事件のことはよく表していると思うし、ニュースや特番なんかに欠けている視点だと思う。 【アランチャ】さん 8点(2004-12-18 00:54:12) |
《改行表示》27.賛否両論なのも頷ける、淡々と映しすぎなんだよね。 僕には退屈に感じました。ラスト20分あたりからはその淡々さが恐怖を倍増させる。 終わり方も強烈で、この終わり方は一生忘れれらないような気が。 映画として見ると面白くない映画。現場再現って表現が正しいのかも。 【ふくちゃん】さん 6点(2004-12-17 05:01:16) |
《改行表示》26.犯行を行った少年2人も亡くなった彼ら彼女らと同じ目線で描かれていて、作者側の事件に対する憎しみは限りなく排除されている。でも当然憎むべきは犯人二人であり、ボーリングフォーコロンバインを観ているのであれば銃社会そのものも憎むことができるだろう。映画の中に怒りをぶつけることができず、てくてく廊下を歩く長い時間の間、とにかくやり場のない怒りを感じていた。映画的盛上げも時間構成をいじくっているだけであるが、それがなんとも巧妙で、現実を繰り返し冷たく見つめる。もしこの編集がなかったらたんなる残酷な冗長映画だっただろう。 観ていてなんとも気持ちの悪い映画だった。 |
25.延々と長回しのカメラとともに登場人物の後を追っていくうちにすっかりスクリーンの中に放り込まれた。登場人物のセリフからはなかなか物語の主軸に繋がるものが見えてこないが、少しづつ悪夢を予感させる断片が形となってくる。恐怖と言う意味では今まで見たどんなホラー映画よりも恐ろしかった。しかし製作者の主張を徹底して排除した映像は賛否両論だろうというのはわかる。 【ロイ・ニアリー】さん 8点(2004-12-11 23:05:43) |