109.《ネタバレ》 大都会の街角とそこに行き交う人々の人間模様…この映画評がそれだけで片づけられるなら元も子もないですね。まずは騙されたと思って観てみませんか? みんな心の傷を背負って必死に生きる…そんな教訓の押し付けでもなく、たばこ屋の主人(ハーヴェイ・カーテル)と売れない小説家(ウィリアム・ハート)の二人の愛煙家の友情を軸に、都会に生きる老若男女を見事に交錯させています。ヒーロー・ヒロインの登場がない普段の生活リズムを映画にした異色の作品ですから、確かにしばらく退屈します。しかしそれは意図だったのでしょうか。途中までの単調感のおかげで、最後のモノクロ無声劇場が大いに引き立ちました。都会の喧騒にかき消されそうに生きる中年男性が、ひょんなことから、社会で最も弱い組合せである「老女」と共有した時間と空間…独居老人に頬ずりされて戸惑うハーヴェイの顔といったら本当に滑稽で、老婆がちょい悪おやじを呑んでいるようにも見えました。孤独死と隣合せの老婆に偶然与えられた、同じく冴えないおじさんからの大きなプレゼント…「イノセント・ウェン・ユー・ドリーム」の曲と相まってどんどん心が熱くなり、笑っていたのに大粒の涙が溢れ始めて私は操縦不能になりました。そしてエンドロールの「煙が目にしみる」を口ずさんで余韻にも浸ったなら、あなたは日常生活に隠れる心温まる場面にちゃんと気づく人ですね。 【元締・虎】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2006-04-17 21:32:18) |
108.《ネタバレ》 血が流れず銃撃戦もない、穏やかで静かなパルプフィクション・ハートウォーミングストーリー(時間軸は動かしてません)。最後はいらない、に一票。今思ったけど、スモーク=それぞれのいろんな人生、という等式が成り立つのではないか。魂の重さは量れるわけだ。登山家はなだれに遭った父に再会し、少年は蒸発していた父に再会した。たんたんと流れているけれど深い。こういう映画もある。山場という山場はないけれど、何度か見たくなる、味わいのある作品。 |
107.なんなんだろうこの気持ちは。淡々と進んでいくんだけど、淡々としてない。迫真の演技、あたたかい音楽、心しめつける台詞。心にそっとなにかを置いていってくれるようなとてもとても素晴らしすぎる映画でした。 【アンリ】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2006-01-12 00:09:11) |
106.《ネタバレ》 最初に見たときは、やたら緩いテンポとシークエンスごとの一様な長さに面食らったのですが、実はその緩さこそがこの作品のミソだったのですね。忙しいばかりのようなNYの一角にもこのような空間が確保されているという描写が新鮮です。ハーヴェイ・カイテルとウィリアム・ハートも、この作品世界にぴたり合っています。●再見して気づいた点。カメラがほとんど動かない。それはそのまま、都会の片隅で街角の人々を見続けてきた主人公の視点そのものでもある。親子対面の哀しくも妙に可笑しい一幕の後、全員で当たり前のようにしれっとピクニックに行っているのが、さらに可笑しい。全体のトーンとして、「わびさび」という言葉がこれほど似合う映画も珍しいと思う。 【Olias】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-12-31 14:01:30) |
105.この映画、『大脱走』の壁キャッチボールと良く似てる。タバコを吸ってることに変わりはないんだけど、ケムリを吸うタイミング、吐くタイミング、灰皿にトントンと灰を落とすタイミング、タバコのシーンが全部ちがって見える。唸らされたのは、5000ドルの損害をラシードに問い詰めるときのオーギーの吸い方。気まずいよー(焦)。(さて、このバカをどうしたもんか)というオーギーの口からどんな言葉が出るのかドキドキしてしまう。一方、小説家がラシードに楽しそうに話すときの吸い方は、広がるケムリのように話を膨らませる効果がある(ように見える)。数々のエピソードは、けっこう、ずーんと重い話ばっかりなんだけど、役者の表情だけでも演じることは不可能ではないはず。さらにトドメの一撃で、タバコをスパスパ(`Д´)y─┛~~ 、またはフゥー…(´ー`)y─┛~~ てな感じで吸ってる。タバコって、不安になったり、ストレスを感じた時に吸うと落ち着くんですよね。このシーンは不安なのか、昔を懐古しているのか、後悔の念で一杯なのか、登場人物たち(オーギーの娘?とか)の表情だけでは計り知れない部分を、”しぐさ”で思いのたけを演出する意図があるな、という印象を持ちました。実は僕自身はタバコを吸いません。以上の解釈で間違ってたら、すいません。いや、今のすいませんは吸いませんではありません。すいません。 |
104.いい映画と面白い映画は違いますよね?大きな起承転結もなく、ただ淡々と時間が過ぎて行きます。でも観ていて心地いい!そんな映画です。 【レッドホーク】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-11-13 01:10:07) |
103.特に大きな山場もなく、かなりたんたんとしていて、劇的な展開もない。なのに、後味がよく、いいもの見た感じがする映画。それぞれのストーリーが大局的に見たときにいい具合に絡み合い、決して他のストーリーのじゃまをするこもなく、いやみがない。それは、おそらく、見る側に無理に感動を強要させず、余裕のある作りをしているからだろう。純愛映画ものと言われている映画の持つ、見る側への強要に飽き飽きしていた僕にとって、この映画はかなり画期的な映画でした。今後もこのような映画を見て行きたいですね。 【ジャザガダ~ン】さん [DVD(吹替)] 9点(2005-11-03 23:12:38) |
102.《ネタバレ》 そう、写真はゆっくり見た方がいい。 個人的には、最後の「再現フィルム」は、無い方が良かった。 【tj】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-11-01 09:25:05) |
101.TUTAYAで「ゆったりと流れる至福の時間」(だった気がする)のコーナーにあって見てみた。その通り、ゆったりとしたなんとなくまぁるい印象を受ける映画でした。タバコがすごく吸いたくなった。ああいう風に、タバコを本当においしそうにたしなめる大人に憧れます。 【織姫】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2005-08-30 01:23:52) |
100.息子より若い父親のエピソードなど、そこかしこに魅力のある話が詰まった佳作。全体的に穏やかで英語も聞き取りやすく、大人の映画という印象。ときどき差し挟まれる押さえた音楽も良かった。最近煙草を吸うシーンが映画の中から取り払われている感があったが、この映画に限っては嫌味がなく、貴重なアクセントになっている。惜しむべきは、途中登場人物を増やしすぎてしまったために話が見えにくくなってしまったこと。途中暴力が絡んでほしくもなかった。「死ぬまでに観たい映画1001本」収録作品。いつか原作もじっくり読んでみたい。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-08-07 09:35:34) |
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99.こんな名作があったとは。未チェックでした。 とってもいい話しで大好きですが、何人かおっしゃってる方いるように、わざわざ映像として見せなくてもいいと思うシーンが何回かあり、それが余計でした。 【february8】さん [DVD(吹替)] 8点(2005-07-31 09:34:16) |
98.《ネタバレ》 いくつかのストーリーがある中で引き込まれる話がなく、中盤は少しだるかった。でもそう思いつつ、このゆったりとした雰囲気が何度か観るうちに癖になりそう。ラストのクリスマスにおばあさんと一緒にすごした…という話はじわ~んときた。モノクロの場面もとてもよく印象に残った。それにしてもウィリアム・ハートがスティーブン・スピルバーグに見えてしょうがなかった。 【Syuhei】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-06-19 17:03:22) |
97.さすが上手い(^^)。ただ、最後は余計派! やってもいいけど、全部そのまま絵にしちゃうのはペケだべ。ちょっとはずすとか、部分を見せるとか・・・見る側に余地を残さないのは過剰な親切だと思う~。 【ジマイマ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-05-27 21:38:12) |
96.タイトル通りタバコが似合う映画。ヘビースモ-カーの俺は良くわかる。 【ゆきむら】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-05-24 15:54:36) |
95.トム・ウェイツの音楽に救われている。 というかトム・ウェイツこそは映画の神。トム・ウェイツの姿或いは声の存在するところ、映画が出現する。 |
94.地味な作品ですが、いい雰囲気の映画です。H・カイテル、W・ハートの演技が渋いです。最後のH・カイテルの語るクリスマスの話のシーンが一番好きです。 【ジム】さん 8点(2005-03-29 19:40:36) |
93.良いなぁ。変な気負いも無く、それでいて退屈ではなく、終わった後心地よい映画です。『東京物語』の現代NY版ってとこか。←ちょっと違う? 【さら】さん 8点(2005-03-17 14:36:51) |
92.終始、穏やかな雰囲気がとても心地好く、人と人の繋がりが涙が出るくらい優しくて温もりがあった。観賞後は、思わずため息が零れてしまうほど優しさが切ない映画でした。 【ボビー】さん 8点(2005-03-08 11:23:50) |
91.《ネタバレ》 最後、ハーベイ・カイテルが真剣に話しすぎてません? 私はウンウンと納得。なのにウィリアム・ハートさん、なんで軽く流すの?と思っていたらあのモノクロ・・。というわけで、未熟な私は一番盛り上がるとこでスカ食らってしまいました。残念。もっと大人になってから(いつよ?)出直します。 【かーすけ】さん 7点(2005-02-05 21:00:16) |
90.《ネタバレ》 じんわり。やんわり。そんな言葉が似合う映画だったと思います。主要キャラクターを各エピソードに分けて、誰をメインで見れば良いか、ちゃんと教えてくれている。ハーヴェイ・カイテルとそのチャプター分けが『レザボア~』を連想させたけど、全然違う。友を思う古びれたタバコ屋のオヤジっぷりが見事でした。アシュレイ・ジャッドも若かった。 ラストのおばあちゃんのシーンは要らなかったという人もいますが、ぼくは逆。おばあちゃんがオージーを抱きしめて、オージーが話す。その時一瞬、おばあちゃんはハッとした顔をしています。これは飽くまでぼくの推論だけど、おばあちゃんはすぐに別人だとわかったんじゃないでしょうか?にも関わらずオージーは一所懸命楽しいパーティをしてくれた。そのオージーの気持ちが、おばあちゃんは一番嬉しかった気がする。人生最後の素敵なクリスマス・パーティを過ごせたんだと思う。 ぼく個人としては・・・禁煙しようとしてる今、この映画でみんな実に美味そうにタバコをふかしてる。それでぼくもついついつられて吸ってしまった。 |