355.《ネタバレ》 5年くらい前、1回目に見たときは韓国版の激安輸入DVDだったからか、 劣悪な画質と異国語字幕のためかあまりいい印象ではなかった。 その上で少々背伸びをしたのであまりに酷い感想文になった。 それを少し改めたい。 まずこの映画は 農民たちの貧窮を見事に描いている。 ここまで絶望的に弱者を描ききった映画もなかなかないと思う。 戦のシーンは圧倒的だった。 この映画ほど臨場感のある戦のシーンは他に見ない。 ここまで徹底して戦を描いた映画は知らない。 たぶん映画におけるリアリティとはこういうことをいうんだろうと思った。 実は自分が1回目に見て一番印象に残っている場面は仲間集めの場面でも戦場面でもなかった。 最年少の勝四郎が森に入って行き、まるで少年のようにはしゃいでいる場面。 川のせせらぐ静かな森。 祠の辺に咲いている花を摘んだ後のことだ。 奇妙な音楽が流れだして花の咲き乱れる不思議な世界に迷い込む。 花の上に寝転んでボーっとしていると川のせせらぐ向こう側に 花を摘む不思議な服装をした若い女性が現れるという場面。 まるで桃源郷か竜宮城かわからないが不思議な世界。 この幻想的な場面が忘れられずにいた。 もうひとつ、菊千代 (三船)の演技は愉快であるが常軌を逸していて狂気ともいえる。 この七人の侍は正統派映画ど真ん中でありながら物語の中に神秘性や狂気を盛り込むことをも忘れていないところが個人的に素晴らしいと思う。 キャラクター性が素晴らしいのに”キャラクターもの”に成り下がらないのはそれだけ物語が強いからだろうか。 ちなみに自分はキャラクターの中では久蔵が好きだ。 【ゴシックヘッド】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-04-03 23:50:21) |
354.古い戦争映画が好きです。でも時代劇はあまり好きではありません。けれどこの映画はすごいです。ちょっと落ち武者たちの攻め方が馬鹿丸出しですが、ちょっと三船敏郎の演技が鼻につきますが、この時代に見てもこれだけ楽しめるなんて、今までしっかり見ていなかったことを後悔させられました。 【木村一号】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2013-02-15 23:15:58) |
353.《ネタバレ》 ハリウッド版の『荒野の七人』を子供の頃に観て感動したが、後になってこちらがオリジナルだと知ってビックリ。 野武士に立ち向かう七人の侍が頼もしい。 米の飯を腹いっぱい食わせるという条件で集まるのは、武士道の下地があってこそ。 観る前は、三船敏郎は椿三十郎のような役かと勝手にイメージしていたが、全然違った。 菊千代によって百姓の狡さと哀しみがまざまざと浮き彫りになる。 なかなかわかり合えない侍と百姓が、次第に距離を縮めていく過程がいい。 でも、最後生き残った侍に「勝ったのはあの百姓たちだ」と言わしめる百姓のしたたかな強さ。 そこにはどうにもできない距離が確かに存在する。 難点を挙げるなら、映像が見にくかったり、セリフが聞き取りにくいところや、演出にはさすがに古さを感じる箇所がある。 ただ、ストーリーは起伏があって非常によくできており、不朽の名作の名に恥じない。 こうした名作を次々と世に贈り出した黒澤監督が、世界の監督たちの尊敬を集めたのは納得だ。 【飛鳥】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-01-03 00:29:38) (良:1票) |
352.《ネタバレ》 7人のうち、三船を除いて全員がインテリジェンスな侍だったが、私は7人全員が、三船のような野蛮な侍だと思い込んでいた。痛恨の偏見であった。知性を兼ね備え、百姓たちに畏怖の念を抱かせる侍のイメージが、偽侍である三船1人のせいで、台無しになっている。実に気に食わぬ。物語のなかで「種が島」という言葉が出てくる。それによって強い侍たちが次々と射殺されていく。7人のなかで最強だと思われている久蔵ですら、あっけなく射殺される。剣術に磨きをかけてきた侍の存在自体が、鉄砲により否定されたと思うか?不条理だと思うか?いや違うのだ。これもまた偏見なのだ。この時代のサムライは、ラストサムライのような美学はまだ持ち合わせていない。この点に関して、クロサワは、歴史家たちから火責め、水責めにされても文句は言えないだろう。すなわち、「飛び道具は卑怯なり」というキャッチフレーズを考え出したのは、銃を恐れた江戸幕府が最初なのだ。戦争のない平和な時代である。ゆえに侍(武士)たちは美学を持ち始めた。もとより日本は合理性を重視する国ゆえに、侍の武器と言えば刀ではなくやはり銃だったのだ。なによりもこの映画の時代設定、すなわち織田信長よろしく戦国時代真っ只中の時期においては、その事実は火を見るより明らかである。私が言いたいのは、なにゆえに、この当時の侍に、ありもしない美学を持ち出してきたのか?という点に尽きる。百姓を善人にしなかった点は褒められる。しかし侍を、ラストサムライとして描いた罪、それは映画監督としては切腹ものだ。私は不満だ。許せないくらいだ。また外国人に誤解されるじゃないか。しかしたかが娯楽映画である。ゆるりと楽しむことにすれば良いのかもしれない。それができればの話だが。 【花守湖】さん [地上波(邦画)] 1点(2012-12-27 20:35:56) (良:1票) |
351.この映画の前では他の映画が幼稚園のお遊戯会に見えてしまう。それぐらいずば抜けているのです。 【maguro】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-12-25 23:17:56) |
350.もう何度も観た作品だ、この作品は最近のVFXやSEで飾り立てられた作品の後に観ると、また感動するんだな。これが。 【min】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-12-22 19:26:22) |
349.やたらに傑作扱いされているから、いっちょケチをつけてやろう・・・。そんな気持ちでレンタルしたのが中学二年生の時。そう、まさに「中二病」真っ盛りであった(笑)。だが結果は私の大敗。この映画はぞっとするほど緻密に完成されていた。緻密といっても、設定が作り込まれているとか、世界観の説明ができているとか、そういった退屈な類の緻密さではない。この映画の緻密だったのは、言わば映画の脈拍のコントロールだ。出来事やセリフが実に精密に、狙いすまして配置してある。これはもはや、努力で何とかなる分野ではない。天性の計算力と、ひょっとして(失礼な言い方になるが)少しの化学反応的偶然が絡み合って、やっと形になるものではないだろうか。この配置から生まれるリズムに、中学二年生の私は酔いしれた。べつに映画監督を目指しているわけでもないのに、まるで勉強でもするように繰り返し見て「なるほど、なるほど」と構成を頭に叩き込んだ。あの時間を学校の勉強にあてていれば、その学期のテストの点数も幾らか良くなっただろうに、アホなことをしていたものである。まあ、良い思い出だ。 【肛門亭そよ風】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-12-09 15:04:29) |
348.サッカーと言えばブラジルかイタリア ジャズと言えばアメリカ クラシック音楽といえばドイツかオーストラリア エンターテイメントと言えばアメリカ? いえいえ、七人の侍を超えるエンターテイメントがありましたか? 最高のエンターテイメントを作ったのは日本の黒沢明監督です。 【sky】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-12-05 22:56:18) |
347.ストーリー自体は単純ですが、侍と百姓達それぞれのキャラクター設定がしっかりしており、素直に面白いといえる映画です。 セリフが聞き取りづらいのと、207分と上映時間が長いのはちょっと難点だと思った。初めて見たので、もう一度見ればまた評価も変わるかもしれないけどね。 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-11-04 11:06:44) |
346.日本映画の最高の作品のひとつでしょう。はじめはテレビ放映されたものを見てあまりの面白さに驚き、後にリバイバルされた際に映画館で見ることができ、とても嬉しかったのを覚えています。セリフは確かに聞き取りづらい。初めて見た後、ちょうど大学の図書館に、黒澤明映画の脚本全集が置いてあるのを見つけ、自分が聞き取れなかったセリフを逐一チェックしたのも良い思い出です。(正直に言えば、初見時評価は9点、セリフの中身が全部理解できたところで、+1点の10点というのは否めません。残念ながら。) 【Northwood】さん [映画館(邦画)] 10点(2012-09-02 14:35:44) |
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345.高校生の頃、映画好きだった父親が薦めてくれた作品。 先入観もなく観ていたので前編が終わったところでええええ!と驚いたものです。 父親曰く「当時は映画館で前編が終わると途中で休憩時間が入ったんだ」との事。 また当時の映画で太陽を撮るのはタブーだったのを黒澤が破ったんだとか あの頃の時代劇は紋切り型のチャンバラだった中でリアルな殺陣を見せられて驚愕したもんだ…等々 黒澤明の凄さをリアルに感じた世代の説明はとても熱かったです。 そんな感じで、当時隣で父親が解説してくれなければ意味がわからない事も多かった点、万人に受ける映画というわけではないかもしれないです。 実際、友人に勧めてみたところ最初の数分で「何をいってるかわからないし不気味」という理由で離脱されてしまいなんて勿体無い…!と内心歯噛みしましたから。 父親のおかげで最後まで面白く観れたという思い出の映画、いまは亡き父に感謝。 【どぶん子】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2012-06-21 22:11:46) |
344.《ネタバレ》 この映画の志村喬は七人の侍の誰よりも、荒野の七人の誰よりも超カッチョエエ。 (残念だが、マックイーンよりも)。わたしの大好きな場面。 1、身勝手な行動を取ろうとする数人の村人達の前に、突如、”待て”と立ちふさがり、村人達がさらに逃げようとすると、突然、刀を抜き、”シュタタタター”と走り出し、村人達を追い詰める、一連の流れるようなアクション。そして、村人全員の前で演説をぶつその台詞のカッコよさ。埃舞い、吹きすさぶ風。前編、終了。 2、最後の決戦にて。野武士と戦う勘兵衛は、やおら刀をおき、武器を刀から弓矢に変える。そのときの、ゆっくりとした一連の動作。そして、弓矢を放つその瞬間。なんと放たれた矢は豪雨の中、白い水飛沫を上げる。うおおーー!かっこえええーー。 3、あと、これは本編ではカメラ角度が違うのだが、決戦が始まったとき、村の入り口で、志村、宮口、木村の3人がそろって横並びで、刀を抜くシーン。うおーーーー! 。オバキュー!ずんぐりむっくり、はげアタマ、どたよた走り、やさしそう、静かそうの超むかしむかしの、日本の名俳優(最強)の、このおっさん!は、どうしてこうも、超チョウ、カッチョエエエエのかぁぁーーー!!!?考えてみりゃ(別にかんがえなくても)、”生きる”のヨイヨイの市役所オッサンがガンから復活して、こんな世界一カッチョイイ戦国侍になっちまうのだから、人間ってすごい!(というか、クロサワって)4、そして、これは志村ではないが、決戦で三船が一本の刀じゃ何人も切れないと、泥の地面に刀を何本も突き刺す。これにはウナッタ!その斬新さ!すべて、最高である。あと七人のなかで、忘れられないのが菊千代と久蔵の関係だな。これがイイんだなあ。久蔵が泥のなかで倒れたとき、真っ先に撃った相手に向かって行った菊千代。直後、その菊千代も死ぬ。一見、性格も生き様も正反対なふたり。はなしだって、マッタク合わんでしょう。しかし!ふたりとも、お互いに”男”を認めていたはずだ。天国行っても、まったく噛み合わないふたりでしょうがね。この映画、感想はつきません。 喜びをこめて、当然”七”点! 【男ザンパノ】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-05-18 14:30:33) (良:1票)(笑:1票) |
343.207分という長丁場ながら、それは7人の侍達はもちろん村人に至るまで1人1人のキャラクターやその背景を細かく描写しドラマ性を高めるためのもの。シーンがまるで長回しかのように無駄なくつながっていきストーリーテリングも巧みなため長さを全く感じさせない。その個性豊かな面々はそれを見た年頃、年代によっても解釈が遷り変わり見るたびに違う種類の感銘を受けるほどだ。今でも全く色あせないその迫真に満ちた決戦シーンも含め、日本映画のみならず世界映画史上に残る傑作の1つですね。 【Arufu】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-04-27 03:22:28) |
342.本当に言葉がない。昔はいかに凄い映画なのかをあたりかまわず唾を飛ばして叫んでいたものだ。今回ハタと気づいたが、自分の拙い語彙力では感動、賛辞、他の作品を俎上にあげての比較論的こき下ろし、等々・・何一つ不可能で無意味であったことを。 「残るは十三騎・・・勝負はこの一撃で決まる」のセリフから涙が吹き出すのだけは変わらないなあ。 |
341.放映された当時のことは知りませんが、今見てそんなに面白いですか? 【みんな嫌い】さん [映画館(邦画)] 6点(2012-03-21 06:32:18) |
340.《ネタバレ》 「世界のクロサワ」による日本を代表する名作、この作品を観ずして邦画は語れません。魅力的なエピソードを経て集められた屈強な侍たちはそれぞれ個性が光っています。重厚な人柄で戦況を冷静に見つめるリーダー格を志村が好演、坊主頭を触るクセや笑顔が意外とチャーミング。豪胆で破天荒な侍を三船敏郎が怪演。他にもリーダーに弟子入りした多感な若侍、忠義心厚い武骨な侍など個性的な面々。七人の侍で生き残ったのはわずか三名。用心棒探しから農村での戦闘準備・百姓たちとの交流、白熱の合戦シーンまで207分間余すことなく楽しめました。モノクロ映像と早口なセリフで分かりにくい場面もあったがそれを充分補うストーリー完成度、傑作。 【獅子-平常心】さん [地上波(邦画)] 8点(2012-02-24 00:24:57) |
339.黒澤作品を全て観た後の感想ですが、この監督はエンターテイメントの人だったのだというのが私の結論です。問題を多面的に扱ったり、複雑さを留保したまま問題意識として残すような作風は苦手だと思う。社会的なテーマを扱った現代劇も撮っていますが、私には強く響く作品がありません。反対に、勧善懲悪的なシンプルな作品からは凄いパワーを感じます。この「七人の侍」は典型的です。野武士側の事情には一切触れずに、侍と農民が勝利へ至る紆余曲折が描かれますが、本作のテーマは何かと問われても私には答えられない。敢えて言うなら「団結」などかも知れないが、たぶん本作はそんなことを意識して作られていない。この作品を構成するのは、仲間が集まるワクワクや、協力し合う心地良さや、大勢で勝利する達成感といった「映画的」な面白さです。涙するような感動や生活の知恵は見当たらないが、それでも面白いのです。それも、圧倒的な面白さです。不思議なことに、感動は無くともメインキャラのほぼ全員に共感している。3時間を超える映画で、何度も観返しているいるのは本作だけ。観返すたびに、映画的な面白さを教えてくれるテキストのような存在です。菊千代を見ていると「ドカベン」の岩鬼を思い出します。あのキャラは菊千代が原型でしょう。 【アンドレ・タカシ】さん [地上波(邦画)] 10点(2012-01-24 23:29:46) (良:1票) |
338.私の最も嫌いな映画のひとつである。 映画はおもしろさや楽しさを与えてくれるもの、夢や希望を与えてくれるもの、あるいは考えされるもの、自分のためになるものでなければならないと思う。しかしこの映画は私にとっては、いずれもないように思う。 私はこの映画を3回見た。1回目は何十年も前、友人(先輩)に勧められて、2回目は世間の評判を確かめたくて、そして今回がこのレビューを書くためにである。 1回目は三船俊郎演じる役者が嫌になり、半分で見るのを止めた。ビデオを先輩に返す時どうだったか尋ねられ正直に答えた。先輩は怪訝な顔をして「こんなにおもしろいのに」と言った。それがきっかけだったのか、先輩との間は気まずくなった。 2回目は、それからずいぶん後、世間の評判と自分の感覚との違いを埋めるため、自分でビデオをレンタルして、ラストまで辛抱してみた。しかし、あまりにも長く感じられ最後の方は大変苦痛だった。 今回はDVDで途中をいくらか早回しして冷静に見たつもりだったが、やはり評価は上がらなかった。 設定が安易ではなかろうか、見ず知らずの農民のために命をかけて戦う武士がいるのだろうか。哀れなのは農民よりも野武士、彼らは仲間が次々と殺されていっても、ただひたすらに部落を襲うのだろうか。それも作戦も何もなしで・・・。 緊迫感はあるようでまるでなし。ただ野武士の集団が次々と殺されていくだけ、何がおもしろい? 7人の侍たちは寄せ集めの集団、どうしてチームプレーや連係プレーができよう、集団作りをする暇はなかったはずだ。 【ESPERANZA】さん [ビデオ(邦画)] 3点(2012-01-06 07:44:04) |
337.《ネタバレ》 鑑賞前に、『何年も前の日本の映画が、今見て面白いのか?』といった本当に失礼な考えをもっていた。 3時間近くの鑑賞後、もう自分の中の映画、邦画に関する何もかもが変わった。 ハラハラ、ドキドキ、ワクワク、涙あり、と映画の全てが凝縮された、映画史上揺るぎもない最高傑作。 スローモーションなど迫力ある戦闘、三船敏郎の迫真の菊千代の演技、なにをとっても類をみない程の映画技術。 仲間が死んだあとの、侍たちの哀愁や農民たちの姿が描かれたラストシーン。 彼らはどうしてここまでして、仲間を失ってまで戦ったのか。 全てにおいて考えさせられるストーリーも最高レベル。 この作品に出会えて本当に幸せだと感じる。 ぜひ日本人として誇りをもって鑑賞してほしいとおもう。 【バトルコサック】さん [DVD(邦画)] 10点(2011-12-20 09:13:03) |
336.これは凄い。興奮必至、問答無用の面白さ。日本人の顔がこんなに濃いとは驚きだ。スクリーンから馬が泥を跳ね飛ばしてきそうなすんごいカメラアングル。3Dが小細工に感じるね。長いので、中休みをはさんで上映されました。誰も席を立たなかったと記憶してます。 【tottoko】さん [映画館(邦画)] 10点(2011-09-21 18:35:44) (良:1票) |