196.《ネタバレ》 製作から20年以上経っても、何度観ても、まったく色あせる事がない傑作アクション。
ただ、傑作ではあるものの、自分の判断基準では7~8点が妥当なところだ。
SFX技術のレベル云々ではなく、ストーリーや登場人物の内面を深く掘り下げていない点が減点材料だろう。
インディ・ジョーンズというキャラクターは魅力的に描けているが、もう少し内面に踏み込んでもよかった。
アークの爆破を躊躇ったような考古学者の内面をもっと描いて欲しかった。
ナチスよりも早くアークを見つけるという任務は遂行する必要があるが、考古学者として歴史の真実を知りたい葛藤にさいなまれてもよかった。
ジョーンズの怒り・悲しみ・嘆き・楽しみといった感情があまり膨らんでいないのが気になるところだ。
ただ、深い映画ではないが、万人が何も考えずに楽しめるという軽さこそ本作の長所だ。
今観ても何度観ても楽しめる理由の一つが、その点にある。
エンターテイメントアクションという製作趣旨やバランスを考えるとやむを得ない部分に落ち着いているのではないか。
アクション映画としては、素晴らしい作品に仕上がっている。
本作の素晴らしさは、なんといってもスピルバーグの確信犯的ともいえる演出だろう。
現実的な描き方ではないが、「もう絶対間に合わないぞ」という展開をあえて描き、それを何度も何度も繰り返すことで、ハラハラ感を最大限に増加させている。
常識的な描き方ではなく、リアルな描き方でもないのに“わざとらしさ”や“いやらしさ”を感じさせない演出的な上手さもある。
そのように感じさせない理由としては、特有の“ユーモア”が本作にあるのも要因ではないか。
「そんなことあるはずないじゃないか」という批判を上手くユーモアでかわしているような気がする。