171.ずいぶん前のことだが、かなり人気だという寿司屋に行った。 超高級素材しか使わないというその店で出てきた三貫の中トロは軽くあぶって、それぞれ違う味のたれが塗ってあった。 私は心底わさびと醤油で食べたかったのだが、それは好みの問題だろう。 本作では、お得意のギトギトカラーは影を潜め、抑え気味の演出ではあるものの、相変わらず全部のカットの映像は厭らしいまでに凝っており、スゴイとは思うのだが、やっぱり好きになれないのはそれと同じ理由だと思う。 また、原作は新刊が出てすぐに読んだが、「嫌われ松子」の時とは違って、かなりそのテイストを尊重しているようにも思える。 それは私が原作の「嫌われ松子」を溺愛しており、本作「告白」はあまり好みでなかったせいも多分にあるかもしれず、これもやっぱり好みの問題なのだ。 というわけで、とりあえずは及第点。 【poppo】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-09-05 19:33:35) |
170.《ネタバレ》 冒頭でいきなり、殺された幼児の母親である松たか子が、殺人事件の顛末を「告白」し、それから関連人物が次々に事件にまつわる枝葉を「告白」していくという、異色の構成。 何人もの「告白」がなされ、次第に明かされていく殺人事件の真相。 映像的に暗めのトーンで展開される、このシリアスな物語は、終盤に向かって息つく暇もなく展開していく。 この展開の仕方が見事で、全く飽きさせない。 物語の構成と暗い色合いの映像とがマッチして、独特の雰囲気を醸し出しているのも良い。 ただどうだろう、とびぬけて傑作かと聞かれたら、そうでもないと答えてしまうだろう。 生悪説を前提に、中学生という「少年」が残虐な行為をするという決めつけが少し極端な気がする。 確かに、人の心の痛みを十分には知らない少年が、相手の痛みを理解できず、残虐な行為をするパターンというのはよくある話だけれど、松たか子が担任していたクラスの少年たちは、全員が皆同じように残虐であり、同じような行動パターンをとる。 それが何だか、作り物的な風合いを感じてしまう。 そして無能な他の教師たちの描き方も極端。 熱血教師に恨みでもあるのかと思ってしまう。 総じて面白く、同年に製作された「悪人」と賞を競り合っただけのことはあった。 だが、「悪人」にしてもそうだが、胸がすくような、心が打ちのめされるような突き抜けた何かが感じられないのだ。 中島哲也監督は、現在において、間違いなくトップクラスの監督だと思うが、期待が大きいだけに、この程度の作品でまとまって欲しくない。 もっともの凄い作品を、今後に期待したい。 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-09-05 19:17:46) |
169.普通の娯楽心理サスペンスとして観れば、なかなか面白い。 一本のドラマとして観れば、誰にも感情移入できずに物足りなさを覚える。 ラストのヒネリもちょっと無茶。演出に関しては、いいのか悪いのかよくわからない。 個人的には凝りすぎという印象も受けたが、特に終盤からラストにかけては妙な雰囲気だった。 新感覚派の映画ということで、若い人向け。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-09-04 04:45:31) |
168.《ネタバレ》 いじめが原因で復讐する話だと思ったがすこし違った。「いじめ」とはなにか?それは憎しみで相手をいじめるのではなく、面白くて楽しいからそれを実行する。怒りながらいじめる子供などいない。笑いながらいじめるのだ。それがいじめの本質である。まだ生まれて10年足らずの子供には心に傷が少ない。だから相手の痛みなどわからない。ただひたすら「笑い」と「楽しみ」だけがすべてに優先される。その先にいじめがある。子供の持つ明るさは残酷さと表裏一体である。それに対して娘殺しの犯人は、心に傷を負った少年であり、トラウマが原因の殺人だった。「告白」で何が一番嫌悪感を感じるか?それを自覚している人はいるでしょうか?もちろん犯人の2人ではない。それはボロボロに傷ついた犯人2人と、もっと深い傷を負った女教師をとりまくまわりの生徒たちの「明るさ」なのです。中島監督の演出は抜群だった。ダンスなど子供の天真爛漫な「明るさ」を全面に打ち出すことにより、いっそう子供の残酷さを印象づけ、観客の嫌悪感を募らせていく。社会では「子供の明るさ」を無邪気だと捉える。しかし中島監督は子供の明るさを、他人の痛みに鈍感な残酷さと捉えている。それはあの熱血教師にも当てはまる。あの脳なしのクソやろう!と誰もが思ったはずだ。人間が一番嫌いな人間は、凶悪犯罪者やヤクザではない。それは偽善者だ。かりに復讐を行なう女教師の描写として、娘を見殺しにした自責の念が描かれていたらどうなる?観客はこの女教師を偽善者だと憎むでしょう。しかし女は復讐を行なう自分をまぎれもなく「悪」だと自覚していた。反対に少年犯人を「悪者」として、制裁を加える生徒たちの醜さは、罪の自覚のない偽善者としての醜さだ。彼らをみていると、「ドッグヴィル」を思い出す。中島監督とラースフォントリアー監督が重なってくる。いわゆる性悪説バンザイ映画だ。なんという醜悪な映画だろうか。じゃあ私もこのさい「告白」しておこう。こういう映画はたまらなく好きだ。松たか子も好きだ。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-08-16 20:30:02) (良:4票) |
167.《ネタバレ》 告白形式で展開してゆきますが、結果誰も幸せにならない。 何故なら、良い悪いで常に他者を裁き続けているから。 つまり、この映画の意味はこうやったら不幸になれますという点。 誰が悪いじゃないという点に、登場人物の誰も気付かない。 松たか子演じる女教師も、生徒に罪悪感を教えようとして、実は自分がそれに嵌る。 人を悪意でみたら底が無いよという事だと思うな。 【森のpoohさん】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-08-14 23:54:17) |
166.少年法に守られて面白半分の犯罪を繰り返す一部の中高生には普段から憤りを感じていたから、映画の中で犯罪を犯した少年に対して復讐を成し遂げる松たか子にはある種の爽快感すら感じた。邦画ならではのストーリー。 【ぺん】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-08-14 22:59:18) |
165.黒板に書かれる「命」の文字が発する「キーーーッ」という不快な音。 「これまでの『下妻』『松子』『パコ』とは違うから心して観るように」という警告のように感じました。 衝撃的過ぎてもう一度観ようと思えないすごい作品であります。 【まきげん】さん [映画館(邦画)] 9点(2011-08-04 15:02:55) |
164.原作未読。酷い。重いようにみえて非常に軽い。中学生もチャラすぎ。中学生に失礼だ。オチも弱い、というか運び方がヘタなのか後半だらだら。高評価の理由が全く分からず。期待を裏切りすぎたので1点。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 1点(2011-08-04 14:25:41) |
163.《ネタバレ》 ストーリーの展開に無理が目立ち(とりわけ後半グズグズ)、また口当たりのいい映像の流れには飽きが来て、正直観ている間は低評価。でもラストの松たか子の「なーんてね」のセリフで、これはこれで今の時代の嫌な一面を突いてるな、とは思った。映画に蔓延してるのは「とりあえず小馬鹿にする態度」。いじめの本質かどうかは分からないけど「小馬鹿にする」ってのは重要な要素だろう。茶化す、ってことでもある。真剣なもの(それはときに暑苦しくもある)を避けて、クールであろうとする。クールに見えようとする。そのためには他人にとって切実なものまでを、小馬鹿にする。それは生々しいものから逃げたい臆病の変形なんだけど、現代はその必死に冷笑する気分が過飽和状態になっていて、それがあちこちで「いじめ」として結晶してるんじゃないか、そんなことを思った。そして娘の死への復讐という真剣な思いを完成させるためには、最後に「なーんてね」という小馬鹿にする言葉がトドメになる。しょせんエンタテイメント作品ではあるが、でもだからこそ、これが決めゼリフとしてぴたりハマったのが、現代の状況を射抜いていた(かつて「なんちゃってオジサン」という都市伝説があったけど、あれはまだ愛嬌があったな)。登場する全員が救いようなく壊れていく。暗い雲だけが動いていく。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-08-03 10:04:12) (良:1票) |
162.《ネタバレ》 原作を読んでいたのですが映画を見ていなかったのでDVDで鑑賞。小説ならではの「告白」をどう映像にしたのか、と思っていたのですが「なるほど!」という感じで文字とは違う表現に感激しました。 ほぼ原作に忠実ですが、最後の少年Aのお母さんが爆発に巻き込まれるシーン、あれは必要だったのかな?と思いました。結局どうなったんだろう!?でよかったと思います(これは個人的な感想です) そして、最後の「な~んてね」というセリフ。怖いですね。色々言いつつも結局「ざまぁみろ」というどす黒い気持ちが溢れ出ている一言だと思いました。それだけのことを少年Aはしてるので、まったく同情できませんでしたが。 その同情できなかった自分、お前が悪いんだろと思った自分は、彼のクラスメイトと同じなのかと考えたとき、一番怖かったです。 色々考えさせられた一作。 【HIGE】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-07-19 13:38:48) |
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161.静かですが、胸の内には計り知れない憎悪があったんですね… そりゃそうだ。 やはり大人は怖いわけで、少年法があるからって調子乗ってんじゃねえんだよガキが!って映画に思えてきた。 【ライトニングボルト】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-07-18 02:53:37) |
160.《ネタバレ》 すごい映画だ。原作が良いのか映画化が上手いのか。原作は未読だが賞も獲っているし、両方いいのだろう。いろんな意味で登場人物が皆こんなに残酷でエゴイスティックな映画は初めてだ。好き嫌いが分かれる映画かも。ただ、傑作であることは間違いない。最初は登場人物の行動が理解できないが、告白が進むにつれその理由が怖いくらいにクリアになっていく。その演出がうまい。一見モノクロといってもいいくらいの彩度の低さだが、これを通常の彩度にすると血の色が鮮烈過ぎて、登場人物の告白に対する集中がかけてしまうに違いない。だからこの色合いは正解だと思う。また、深刻な内容に一見合わなそうなBGMの選択が恐ろしくいい。あと個人的には木村佳乃の演技が良かった。 【MASS】さん [映画館(邦画)] 9点(2011-07-18 01:55:01) |
159.最大の犠牲者は熱血教師だった・・・なぁんてね♪ 【マー君】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-07-17 01:39:12) |
158.娘を殺された教師が犯人を捜すミステリーと思っていたが、ホラー映画の一種だったのね。 冷徹な復讐者の役を演じる松たか子の演技が凄い。 ちなみに原作未読。そのうち原作を読もう。 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-07-11 01:30:32) |
157.中島監督らしい素晴らしい映像と演出。松たかこの名演技。しかし、話自体は好きになれない。 【ashigara】さん [映画館(邦画)] 7点(2011-07-09 20:27:55) |
156.小説を読んでから鑑賞しました。かなり原作に忠実に作ってあったと思います。小説は、語り口になる人を変えていくという新しい手法(?)が面白かったのですが、その面白さは映画ではちょっと伝わりにくいですね。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-07-05 16:42:55) |
155.先に小説を読んでいると残念な事に、どうしても比較してしまいます。で、この作品は具現化が素晴らしい。描写も素晴らしい。松たか子さんの静かな冷徹さは凄い。下妻物語や嫌われ松子の中島監督さん。小説では感じなかったのですが、映像で見るとエグイ物語ですねぇ。 【トメ吉】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-06-29 08:56:36) |
154.叩かれるリスクを踏まえて敢えて。 評判が高いので見てみましたが、ミーハーな若者を喜ばせるだけの薄っぺらい映画だと思いました。 こんな作品に、「命の重さ」なんかわざとらしく語ってほしくない。 命も殺しも全てが記号的にそれっぽく並べられているだけで、好演している木村佳乃意外誰にも感情移入できませんでした。 映画を観てこんなにムカムカしたのは久しぶりです。 【おーる】さん [DVD(邦画)] 3点(2011-06-23 02:14:41) (良:1票) |
153.私は、復讐や敵討ちを是としてしまう考え方なので、鮮やかな主人公の復讐劇にはある種のカタルシスを感じた。映像もストーリーテリングも印象的で、最後まで映画に引き付ける力は抜群。しかし。テーマはすこし少年法を批判しているようにも受け取れるが、人物に説得力がないのか、希薄に感じた。純粋なエンターテイメントとして楽しめた。 【エスカルゴ】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2011-06-19 10:22:40) |
152.《ネタバレ》 どの登場人物にも感情移入できず、ドロっとした嫌なものだけが残った。エイズや少年法など人権にかかわる用語を多用していながら恨みの負の連鎖でたたっ切る内容に、まったく意味を感じない。逆説的でも命の尊さを言おうとしているわけでもなく、シュールな映像と小気味な音楽で殺戮が繰り返される本作は、見ていて幻滅する。この映画がここでの評価が高いのが納得できない。この映画が日本でもてはやされるのが現実なら、その方が怖い。新ジャンルの学園ものホラーなのか。でもまったく怖くないし、私の映画感の中では忘れたい映画。人にも決して勧めない。 【カボキ】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2011-06-18 06:40:50) (良:4票) |