3.《ネタバレ》 一般的な評価も高く、賞も受賞しているようだが、個人的にはハマることはできなかった。
良い設定のアイディアがひらめいたが、それを上手く発展させることはできなかったという印象も受ける。
エンターテイメント性を重視せずに、精神的な世界を描こうとしたことが自分には合わなかったのだろうか。
SFファンを楽しませてくれそうな小ネタや不可思議な設定が満載だが、あまりそういったことにも深い関心はない。
3年という労働期間が、彼らにとっての寿命なのか、月面作業による肉体崩壊(宇宙では骨がボロボロと聞いたことがある)なのかどうかも、何故ロボットではなくてクローンが働かされるかも、何故韓国企業なのかも、自分にはどうでもよい話だ。
クローンの悲哀のようなものは見ていても面白みには欠けた。
もちろんクローンではなくて、生身の人間の姿が投影されているとは思う。
単身赴任で何年も家族に会えないサラリーマン、会社で酷使されて使い者にならなくなったらポイ捨てされる労働者などといった、実際の生身の人間の悲哀のようなものを投影しているようには思えるが、上手くまとまっている印象はない。
ラストで「俺たちは人間なんだ」って言われても、あまりグッとは来ないが、コンピューターシステムのガーティがサムの味方をすることを考えると少し感じるものもある。
ガーティは何代もサムのクローンを見守ってきて、サムに対して友情に近い感情を持ち始めたのではないかと思う。