295. ストーリーは単純なのに、しっかりと心情描写されたシナリオ、モノクロスタンダードサイズなのに、迫力とリアル感たっぷりの映像、うまいだけでは言い表せない、シナリオと映像にぴったりマッチした各役者の演技、それらすべてをシンクロさせる監督・スタッフの技量と、どれをとっても一級品である。 日本映画史に残る名画、という世間の評価を意識せずに見ることはもう不可能ではあるが、今回もう5回以上の鑑賞となるのに、これだけの尺のものを最後までしっかりと見てしまうだけでも、名作という証拠か。 台詞も、色々考えさせる名台詞が揃っているが、「そっ首落とされようとする時にひげの心配するだか?」が何回見ても一番印象に残る。 【nobo7】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-05-04 00:30:30) |
294.《ネタバレ》 若侍(木村功)が農家の娘(津島恵子)と契ったことを糾弾する集会が開かれようとしたときから降り出す雨は、集会を中止する(批判的思考を封じる)だけでなく、死闘の空間(こうなれば誰も逃げられない総力戦体制)を脚色する。そう考えるとモンダイな雨の映画であるが、この雨はいまや福島原発事故のことではないのか・・・・というふうに真面目にクロサワ映画を扱っても滑稽でしかないか。 【ひと3】さん [映画館(邦画)] 8点(2011-03-24 20:50:32) |
293.私の最も嫌いな映画のひとつである。 映画はおもしろさや楽しさを与えてくれるもの、夢や希望を与えてくれるもの、あるいは考えされるもの、自分のためになるものでなければならないと思う。しかしこの映画は私にとっては、いずれもないように思う。 私はこの映画を3回見た。1回目は何十年も前、友人(先輩)に勧められて、2回目は世間の評判を確かめたくて、そして今回がこのレビューを書くためにである。 1回目は三船俊郎演じる役者が嫌になり、半分で見るのを止めた。ビデオを先輩に返す時どうだったか尋ねられ正直に答えた。先輩は怪訝な顔をして「こんなにおもしろいのに」と言った。それがきっかけだったのか、先輩との間は気まずくなった。 2回目は、それからずいぶん後、世間の評判と自分の感覚との違いを埋めるため、自分でビデオをレンタルして、ラストまで辛抱してみた。しかし、あまりにも長く感じられ最後の方は大変苦痛だった。 今回はDVDで途中をいくらか早回しして冷静に見たつもりだったが、やはり評価は上がらなかった。 設定が安易ではなかろうか、見ず知らずの農民のために命をかけて戦う武士がいるのだろうか。哀れなのは農民よりも野武士、彼らは仲間が次々と殺されていっても、ただひたすらに部落を襲うのだろうか。それも作戦も何もなしで・・・。 緊迫感はあるようでまるでなし。ただ野武士の集団が次々と殺されていくだけ、何がおもしろい? 7人の侍たちは寄せ集めの集団、どうしてチームプレーや連係プレーができよう、集団作りをする暇はなかったはずだ。 【ESPERANZA】さん [ビデオ(邦画)] 3点(2011-02-05 13:45:51) |
292.《ネタバレ》 【感動】①農民の境遇に同情した侍が、金、出世に無縁の野武士との私闘に命を張る。ヒューマニズムとヒロイズム。②言葉では百姓を罵倒していた人足が、心底では窮状に同情しており、勘兵衛が断ったとき、飯を突き出して説得する。③心離れた侍に菊千代が百姓の実態を訴える。「百姓は嘘つきで業突張りだ、そんな百姓に誰がした」④菊千代が火中から救出した赤子を抱いて「この赤子は俺だ」と叫ぶ。 ・勝四郎が食事を削り、娘に米の飯を与える。娘はそれを最貧困の老婆に渡す。それを知った侍が食事を削り、子供たちに与える。⑤決戦前夜、勝四郎と村娘との恋の激情。⑥勘兵衛を師と仰ぐ勝四郎の成長ぶり。⑦「勝ったのは百姓達だ」と心憎い言葉を残す勘兵衛。大地に生きる者が勝利者、戦に生きる者の心は虚しい。【悲劇】①百姓利吉の妻は野武士に差し出されていた。野武士の砦を襲ったとき、利吉の姿を見た妻は火中に飛び込む。そのとき利吉を助けようとした温厚な侍平八が射殺される。②戦術上離れ屋は見放される。長老は自らそこに残って死を選ぶ。③菊千代と良いコンビを組んでいた弱い百姓代表与平が戦死。④人格の高い久蔵が戦死。仇を討ちに行った菊千代は敵と差し違える。久蔵と菊千代とは表面上正反対の存在だが、心ではつながっていた。【野武士】40人もいるのに屑揃いで無能、同じ戦法を繰り返す。鉄砲も弓も甲冑も馬もあり、村は四方から襲撃可能なのに。いきなり斥候が殺され、奇襲を許す。村の木柵は焼き払えば良い。近くの家も火矢で焼けば、防ぐのは困難。槍襖などは鉄砲と矢で蹴散らせば良い。隠れている小屋も焼く。何軒かの家も火矢で焼いておいて談合を持ちかけ、ゆさぶりをかけるのが定石。一旦引いて、数か月後に奇襲するのが最上手段か。侍が去るのを待つべし。復讐するなら村ごと焼き払えば良い。【その他】①婆さんに人殺しさせるのは良くない。止めてあげないと。②長老の死が理解不能。③百姓を無力な存在に描いているが、秀吉の刀狩令が出たことでも分る通り、当時は百姓も武装していた。④青年がほとんどいないのも疑問。⑤せっかく甲冑や槍、奪った鉄砲があるのに活用しない。弓矢が当っただけで死ぬ。⑥馬から降りた野武士が弱すぎる。悲鳴を上げて女の鍬に追い立てられる。剣豪が一人ぐらいいても良い。⑦菊千代を除いて侍達の体格が貧弱。⑧ラスボス不在が残念。 【よしのぶ】さん [DVD(邦画)] 10点(2011-01-27 23:45:09) |
291.ノブセリツッコロスダア。字幕が無いと何言ってるかわからないです。白黒映画だからこそここまでリアリティ出てるんじゃないだろうか。 【どちて坊や】さん [DVD(字幕)] 10点(2010-12-18 20:13:39) |
290.もう10度目の鑑賞ですが、男の熱さ・悲しさにどうしても涙が出てしまうのです。洋画・邦画の中で文句なくNO.1評価です。 【ちゃっぷまん】さん [ブルーレイ(邦画)] 10点(2010-12-14 13:06:58) |
289.《ネタバレ》 「世界のクロサワ」による日本を代表する名作、この作品を観ずして邦画は語れません。魅力的なエピソードを経て集められた屈強な侍たちはそれぞれ個性が光っています。重厚な人柄で戦況を冷静に見つめるリーダー格を志村が好演、坊主頭を触るクセや笑顔が意外とチャーミング。豪胆で破天荒な侍を三船敏郎が怪演。他にもリーダーに弟子入りした多感な若侍、忠義心厚い武骨な侍など個性的な面々。七人の侍で生き残ったのはわずか三名。用心棒探しから農村での戦闘準備・百姓たちとの交流、白熱の合戦シーンまで207分間余すことなく楽しめました。モノクロ映像と早口なセリフで分かりにくい場面もあったがそれを充分補うストーリー完成度、傑作。 【獅子-平常心】さん [地上波(邦画)] 8点(2010-12-11 01:34:24) |
288.《ネタバレ》 私の様な凡人が、シネマの神が降臨した大傑作を論じるのは実におこがましい次第です。何度も観ているのですが、それにしても最近のデジタルリマスター版はセリフが実に鮮明に聞き取れるようになっているので嬉しい。この映画は名セリフ・名言の宝庫なので、じっくり味わいたいところです。母国語で本作を鑑賞できるのは、日本人の特権ですよ。 侍の中では私は名参謀役の五郎兵衛が好きで、勘兵衛にスカウトされるシーンは屈指の名場面だと思います。「おぬしの人柄に惚れたからじゃ」、微笑みを返す勘兵衛、こんなカッコ良い出会いは他にあるでしょうか! 最近黒澤映画のリメイクと言う愚行がブームですが、頼むから『七人の侍』だけは手を出さないでください、森田芳光さん、角川春樹さん。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2010-10-31 20:07:39) |
287.《ネタバレ》 圧倒的な迫力で見せつけられる七人の侍を含む農民達と野武士との死闘。黒澤明お馴染みの影と光の美しいコントラスト、驟雨や豪雨の魅せ方、ダイナミズム溢れる男達の合戦、要所要所で挟まれる笑い。どれをとっても素晴らしい。娯楽時代劇として本当に完璧に仕上げられています。中でも、菊千代の「こいつは俺だ!俺もこのとおりだったんだ!」と彼の出生元が明らかになる所や最後の散り様、全てが終わった後の勝四郎の慟哭は観ていて本当に辛くなるのと同時に、なんかこう……良く分からんモノが突き上がって来ました。こういう時に文章力が無いのが悲しいですが、こういう良く分からんモノを感じる時に「映画好きで良かったなー」と思えるので文句なしの満点です。 【民朗】さん [DVD(邦画)] 10点(2010-10-26 23:13:17) |
286.《ネタバレ》 その長さから正直、敬遠していたが、今回観て、先ず、志村喬がいい。 一人一人のキャラクターが丁寧に描かれている中、とりわけ志村喬演じる島田勘兵衛は、武士たることの誇り、立身出世を果たせなかった悔い、若者に安易に迎合せずとも突き放すこともしない大人の姿勢、百姓の窮状を救おうと決意した後の潔い戦う姿勢、そして戦にあっては沈着冷静、一貫して破綻皆無の魅力的な主人公として描かれている。 それに並ぶ菊千代の三船敏郎、片山五郎兵衛の稲葉義男、久蔵の宮口精二、千秋実も加藤大介も木村功も、若い頃は、こんな格好良い役柄で邦画界で活躍していたのだ。知らなかったなぁ。 ラスト、菊千代が本当に侍になる。自らを犠牲にして、盗賊の大将を討ち取る。撮影当時、黒澤監督は演出手法として、ドヴォルザークの新世界を鳴らして役者を奮起させたそうだが、個々の殺陣は実はそんなに派手ではない。それが観る者を、次は?次は?と引っ張ってくれる。 どうしても自分の世代、ユル・プリンナーの「荒野の七人」と比較しがちだが、それはそれで面白いが、ラストの言葉、「勝ったのは俺達じゃない、農民達だ」の米国版より、「また負け戦であった、勝ったのは百姓達であった」のオリジナル日本版の方が、何度も云うけど、個々の七人のキャラクターの総意だったし、締め括りの台詞として、最高だった。 【Postef】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-10-13 00:47:09) |
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285.傑作です!長さも感じさせない充実した内容にハリウッドがほっとかないのも無理がない。木村功の演じる若い侍が尊敬してやまない、宮口精二の剣豪侍の役は特にカッコ良かったです。 【白い男】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-10-05 00:16:13) |
284.メチャクチャ長い、疲れました。黒澤監督の代表作のひとつですが、まあ面白いかと言うとまったく。ただ役者の人の演技力は素晴らしかったですね。一度は見ておこうと思っていましたが、やっぱり新しいものにします。感性がついて行きませんでした。 【エラリイ】さん [DVD(邦画)] 2点(2010-09-03 03:30:47) |
283.《ネタバレ》 長さによりしばらく敬遠していたのだがついに鑑賞。なるほど、今の目から見ても十分面白い。尺の長さも七人+村人をきちんと描きだすには必要な長さだったと思う。 ■前半が協力する侍探し。中盤が戦略と準備。後半がいよいよ決戦という三部構成。しかし緻密に戦略を立てていくプロセスを描いているからこそ、ただのチャンバラで終わらない頭脳的な戦闘を見られるし、前半からきちんと人物を描いているので、仲間が死んでいく重みも伝わってくる。 ■素朴に突っ込んでいく菊千代に対し、勘兵衛は冷静でありまた戦いの冷酷さを知っている。離れの家を勘兵衛が見捨てるシーン、焼け落ちる水車小屋に菊千代が助けに行くのを止めようとするシーンなどは、そうした微妙なずれが現れているように思う。冷静でない菊千代は最後に怒りと執念でもって敵を倒して自らも死に、勘兵衛は冷静に立ちふるまって生き残る。ある意味では菊千代の方が侍らしく潔い。ラストの「勝ったのは百姓だ。自分たちではない」というセリフ。普通の意味で取れば平和を取り戻した百姓が勝ったのだという意味だが、ともすると「死して戦う」という武士の本分をなさずに生き残った自分は武士として勝てていないということなのかもしれない。 【θ】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-08-20 00:14:32) |
282.《ネタバレ》 いい映画ですよね、侍と百姓を描いていて、その橋渡しに菊千代がいるという感じ。僕らサラリーマンは江戸時代なら百姓、どんな暴政にあっても黙々と仕事をこなしている、一生働いても年金さえもらえない、侍はさしずめ、青年実業家や若手政治家といった感じでしょうか。菊千代の侍になりたいという気持ちは痛いほど良くわかります。でも最後で死んでしまう、何かのために命をかけて戦い、死んでいく、彼はその意味で本当に侍になったんでしょうね。菊千代になりたいと言って、脱サラして渡米した知人のことを想い出します。彼は侍になれたのかな、きっと菊千代のように討ち死にして、侍になったんじゃないかと思います。 |
281.20数年前、まだ黒澤作品の多くがビデオ化されてなかったころ、奇跡的にレンタルビデオ店でこの作品を見つけました。それはアメリカかどこかから逆輸入したのか店の関係者が日本に持って帰ったのかは不明ですが、英語の字幕でした。 昔の邦画は、早口だと何を言ったのか聞きとりにくいことが多いのですが、聞きとれなかった台詞を英語の字幕でなんとなくわかるという、不思議な現象を体験しました。 前置きが長くなりましたが、日本映画の最高傑作の呼び声高い本作を見て、その期待を裏切ることはありませんでした。 その数年後、劇場で見る機会がありましたが、その緻密な作りと高い娯楽性に改めて感激したものです。 【きーとん】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-07-17 11:12:09) |
280.どうしてもと映画館に連れていかれてみたのですが、はまりました。長かったですが、苦に思わずに見ることができ、クロサワの偉大さを今更ながら感じました。 【HRM36】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-07-09 17:29:59) |
279.進んでは観ようとは思わないが、人には一度は観ても良いかもと薦めるし、暇なときにテレビなどで放映されるなら観ても良いかな。 【ダルコダヒルコ】さん [地上波(邦画)] 5点(2010-04-30 00:01:03) |
278.《ネタバレ》 最高の邦画ですね。七人の侍の個性を一人一人見事に描ききり、長時間の作品ながら全く飽きさせません。泥だらけの戦闘シーンもモノクロながらド迫力。このような邦画はまた生まれてくるのでしょうか?日本人なら久蔵の生き様にベタボレするはずです。 【べいんびーる】さん [DVD(字幕)] 9点(2010-03-11 02:00:34) |
277.200分以上ながら、だれることなく一気に最後まで見ることが出来た。久蔵のかっこよさは異常。 【リーム555】さん [DVD(邦画)] 10点(2010-02-27 10:46:52) |
276.《ネタバレ》 長い映画だ。百姓達が七人の侍を雇い、村を略奪に来た野武士と一戦交える。ただそれだけの話なのだが、侍一人ひとりの個性、百姓達の意識、そして異なる身分同志の交流と反発、様々なテーマを取り扱い、しかもそれらをきちんと、しかも適度なユーモアを以って描き出すにはこれくらいの時間はやはり必要なのだろう。確かに削るべき場所がほとんど見当たらない。 この作品を観て一番思ったのは、最後に勝つのは百姓なんだろうけど、自分は武士でありたいなあということだ。まさにラストの勘兵衛の台詞は「武士は食わねど高楊枝」の考え方がストレートに表現されており、苦笑を浮かべながらも彼は満足(仲間を失った悲しみはあるが)だったのではないか。他人を守り、そして黙って立ち去る。そこに武士の本懐が垣間見えて、僕もそんな人間でありたいと思った。偉ぶらず、人のために役立つことができる人間でありたいと思った。 そして、今だったら、それぞれ誰が演じるだろうと考えた。勘兵衛は寺尾聰、勝四郎は妻夫木、久蔵は寺島進、菊千代は…。いない。彼の演技はアクが強くて普段はあまり好きじゃないけど、三船敏郎って凄いなと改めて感じた。彼の最期のシーンはアクションなのに涙が出そうになった。百姓を捨てきれない男の怖ろしいほどの執念が見えた。 長かったけど、観て良かった。 【枕流】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-02-16 23:10:39) |