211.《ネタバレ》 山田洋次監督の「運が良けりゃ」以来の時代劇で、この後の「隠し剣 鬼の爪」、「武士の一分」に続く藤沢周平原作三部作の一作目となる。以前にも何度か見ているが、久しぶりに改めて再見。冒頭からリアリズムを感じさせる映像で引き込まれるし、前半で描かれる主人公一家の慎ましい暮らしぶりも実際こうだったのではと感じさせるものがあり、ほぼ初めて手掛けた本格的な時代劇としては完成度も高く良く出来た映画だと思うし、清兵衛(真田広之)が朋江(宮沢りえ)に抱く秘めた想いや葛藤といったものもよく描かれているところは山田監督らしさも感じられるが、山田監督が慣れないジャンルに緊張したのか、余裕がない感じもして、純粋に山田監督の映画として見てしまうと違和感というか、異色作に感じてしまうのも事実。(初めて見た当時はテレビで連続放送していた「男はつらいよ」シリーズをずっと見ていた頃で、何か分からない違和感を感じていたが、それが何なのか今回ようやく分かったような気がする。)また、主演の真田広之と宮沢りえは好演していて素晴らしいと思うものの、山田監督の映画の主演が真田広之というのに何か違和感を感じてしまう。(この点は初めて見たときにそのひとつ前に見た山田作品が「男はつらいよ 幸福の青い鳥」で、マドンナ役だった志穂美悦子に少し似合わなさを感じていたので、山田監督の映画にJAC出身俳優は似合わないと自分が感じてるだけかもしれないが。ちなみに宮沢りえに関してはそういう違和感は全く感じなかった。)これが俳優デビューという田中泯の存在感は初めて見た時も印象に残ったが、今見ても少ない出番ながらやはりクライマックスの清兵衛との対峙シーンの異様な存在感が印象に残る。ただ、やはり、ラストの清兵衛が帰ってきてからあとのくだりは次女のナレーションに無理やりまとめた感があり、居心地の悪さを感じてしまった。(善右衛門を打ち取りに行く直前の清兵衛と朋江の会話の中で出てきた朋江が新しい縁談を受けたという話は何だったんだろう?)とくに年老いた次女(岸恵子)が姿を見せるエピローグ部分は語り過ぎで完全に不要だった気がする。エンドロールのバックに流れる主題歌が井上陽水というのも時代劇には不釣り合い。(曲自体は良いんだけど。)さっきも書いたが、このあたりにも山田監督の緊張と余裕の無さのようなものが感じられる。(このあたりは後の2本では改善されている。)さて、評価であるが、山田監督の映画としてはさっきも書いたように異色作に感じるものの、時代劇映画としては完成度が高く、ドラマとしても見ごたえのあるものになっているので悩ましい。でも、嫌いな映画というわけでもないので後者をとって8点。名作と言われている映画だが、ひょっとしたら山田監督の映画を見慣れていない人のほうが純粋に楽しめる映画かもしれない。(2021年8月14日更新) 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2005-03-14 23:23:06) |
210.この映画にノーベル賞なんかを掛けて、騒いだ現代の日本人は、この主人公に何を思ったのだろう。質素堅実な暮らし振りか、清く貧しく美しくの精神か、能ある鷹はツメを隠す謙虚さか。まして小さな幸せに生きるなどと思うのは傲慢この上ない。この映画に象徴されているのは、日本人の古い考え方かもしれないが、人の幸せのあり方だと思う。「子供の成長を見るのは、草木の成長を見るのにも似て、なかなか楽しいものです」そう語った清兵衛は貧しくはあったが、彼の生活は最初から最後まで決して不幸で退屈ではない。周囲に哀れに思われようが見下されようが、自分なりの生活、自分なりの幸せを強くしっかりと心に築いている。「おもしろき こともなき世を おもしろく すみなすものも こころなりけり」という辞世の句があるが、豊かな生活や感じる幸せの大小には基準などなく、要は本人の心の持ち方次第なんだなということを思った。発展途上の貧しい国の現地人を日本に招き、近代文明の豊かさを見せつけて彼らが驚く様を描いた某TVなんかがある。きっと幸せであろう貧しい国の彼らを、ふと気の毒に思ってしまう自分の偽善が嫌になる。 当時の家屋や貧しい武士の暮らし振りなどの再現が恐ろしく緻密。帰宅した清兵衛が足袋を脱ぐ、その足袋のオンボロ具合など細部に渡ってそのまま博物館行きとなってもいいようなセッティングぶりには感心した。あと、回想として終始語り続けるナレーションは興醒めに思う。 |
209.清兵衛さん、魅力的ですね。子供もかわいいし。上手くまとまりすぎ、きれい過ぎでよくできたテレビドラマみたいでしたが楽しめました。 【るいるい】さん 6点(2004-12-19 19:45:41) |
208.うーん、ありがちな時代劇・・。悪くは無いんだけどね~。これだけ騒がれてしまうと、期待してしまうよね~。「雨あがる」と点数同じになってしまったw 【かまるひ】さん 7点(2004-11-20 11:12:17) |
207.邦画にはいつも期待を裏切られているのですが、この作品はよかったです。真田広之の演技は安定しているので安心して見ていられます。宮沢りえは嫌いな女優さんですが、見直しました。あと子役の2人がかわいらしく印象にのこりました。 【kenz】さん 8点(2004-11-04 17:53:15) |
206.時代劇に不慣れな者にも解りやすいゆったりとしたつくりは、老若男女人種を問わず、見て汲み取る事の出来る情感を表現していると思う。その点は評価に値すると思うが、アカデミー賞にノミネートされ英語字幕になった時、そのセリフははたして生かされているのだろうかと、そればかりが心配になった。例えば清兵衛が余五善右衛門の家に入る時の「ごめん」は「Excuse me」なのかなぁ?とか…。あぁDVD見ればわかるんですかね。そうします。その後原作も読んでみたいです。 【ちゃか】さん 7点(2004-10-20 13:28:55) |
205.《ネタバレ》 田中泯が刀を構えながらすっと視線を上げて天井の高さを確認するところ、「うおー、芸が細けー」と感動したのに、結局鴨居に刀ぶつけてやられるんですね。とまあ、それはさておきいい映画でした。 【5454】さん [映画館(字幕)] 8点(2004-10-14 01:06:33) |
204.ラストサムライでかっちょいいけど内容のない時代劇をみせられた後だったので久しぶりにきちっとした時代劇であったように思う。 【おさむ】さん 7点(2004-08-17 16:09:45) |
203.幼い頃に母を亡くした女性が語り手ということで「アラバマ物語」を思い出しました。母の優しさを持つ父親が男らしさを発揮するのが「アラバマ物語」では法廷、この作品ではチャンバラ・・・ということで「アラバマ物語」には勝てそうにないですね・・・。アカデミー賞外国語部門を逃しましたが、日本人の私が見てもちょっとテンポが遅すぎて賞をもらえなかったのはしかたないと思います。真田広之の演技は満点+α。でも、個人的にはもっとマッチョでもっと知的な役で真田さんを見たいです。 【かわまり】さん 6点(2004-07-12 03:02:54) |
202.ラストサムライのような派手さはないけど、細かく人間が描かれていていい。また独特のしゃべりの~がんすっていうのも、その世界観に浸れやすくしていてよかった。 【LYLY】さん 6点(2004-07-05 18:41:20) |
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201.アカデミー賞の選考委員が、この映画と、「ラストサムライ」を、おんなじ目で見ていたのかと思うと、ちょっとなあ・・・ 【あすぺん】さん 7点(2004-07-04 02:17:50) |
【PAD】さん 8点(2004-06-28 18:21:49) |
199.時代の雰囲気と平侍の現実的な日常がうまく醸し出されている映画。ラストサムライよりもこっちのほうがリアルです。地味だけどね。 【スーシホ】さん 8点(2004-06-25 19:20:20) |
198.最近、奇をてらった時代劇が多い中で、非常に見やすい時代劇だった。東北弁が気持ちよく、心に響いた。 【如月CUBE】さん 8点(2004-06-21 17:43:58) |
197.おくゆかしい、って日本語があったなぁと思い出しました。まさにそんな映画。ただ、説明しすぎなナレーションにものすごく違和感がありました。それだけが残念。 【あさ】さん 8点(2004-06-17 15:00:30) |
196.階級社会の悲哀ですなぁ。親の介護と娘の世話という現代のサラリーマンにも通じる悩みを抱えた清兵衛を、時代を超越し、1人の人間としてありありと描いた真田広之の演技は見事!全体的に落ち着いた雰囲気が流れ、肩に力を入れずに見ることが出来ました。うん、よかった。 【はざま職人】さん 8点(2004-06-17 02:08:47) |
195.良くない。どうがんばっても良くない。どこかきっといいところがあるんだと思っても、良くない。強いて言えば、、、宮沢りえがみずみずしくてよかった。それでも、、、こんなことなら寅次郎をみれば良かった。 【杜子春】さん 3点(2004-06-15 16:56:00) |
194.原作とかその他情報を何も知らずに観たので自分で勝手にイメージをつくりすぎてました。私は藩の御前試合かなんかで非凡な剣の腕を見せた清兵衛が京都見廻組に抜擢され、幕末の京都で維新志士と斬りあうチャンバラものと思ってたんです。期待は大外れだったんですけど観て良かったなぁと素直に感じました。 【tetsu78】さん 7点(2004-06-14 20:36:23) |
193.《ネタバレ》 宮沢りえが意外に良かったなぁ。真田広之もいい感じだったし、いい映画だったって素直に言える作品。ただ、最後の対決の前の長い会話は必要だったんだろうか? 個人的には、テンションを下げずにそのまま対決して欲しかった。 【夏目】さん 7点(2004-06-12 17:42:36) |
【Piece】さん 8点(2004-06-12 00:46:42) |