111.《ネタバレ》 映画というより、もの凄く長いPVを見ているような感じでしたね。劇中でもなにかのバンドやら、犯罪者やらに倒錯したり携帯メールでの残酷なやりとりをする子供達の姿が描かれていたけれど、このPVみたいな作りというのは、要するにこういう電子的な世界、仮想の世界にのみ生き甲斐を見いだしていることの希薄さや空虚さというものを、こういう描き方によって表現しているわけですよね。だから、人間を描いていないという意見もわからないでもないけれど、これは全く違うやり口によって、今の子供特有の感覚を表現しているといっていいんじゃないかな。人間の残酷な部分や恐ろしい面にスポットを当てているから見ていてずっと不快な気持ちを持っていたけれど、この不快感がこうやって観る者に伝わるのはまさに作り手として成功していることの証だと思うんです。だから、好き嫌いは別として、僕は一定の評価をしたいと思う。ラストでの、先生の物理的な行使による鮮烈な爆破のシーンは実に印象的。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-01-24 21:28:36) (良:1票) |
110.《ネタバレ》 原作未読。決して退屈はしなかったが、ダークで不快な印象しか残らなかった。中学教師の子どもをクラスの生徒が殺害する、という題材の特異さと、告白という形での人間存在の掘り下げ方という点では一定の評価に値するし、物質的に満たされても心は満たされない現代日本社会の病理がそこから垣間見られなくはない。だが、それにしても本作に登場する人物達の内面的な屈折の仕方は尋常ではない。その屈折をコラージュのような映像と音楽で鑑賞者の五感に切り刻んでいく、その手法が実に不快極まりないのだ。現代日本人が置かれている愛情の欠乏感や狂気や空虚さから逃げずに向かい合え、と言っているのかもしれないが、そこから何か価値が生まれるとは思えない。鑑賞者の心に沈殿する汚物を残す、万人にはお勧めできない映画。 【田吾作】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-01-24 12:19:49) |
109.《ネタバレ》 キネマ旬報ベストテンは最早その役目を終えたのかも知れない。 受持ちの生徒に娘を殺された中学校女教師の復讐譚。まるでマンガの様な、ゲームの様な、荒唐無稽な、現実味の無い、痛みも涙も憎しみも悲しみも下手にカリカチュアライズされ、まるで蝋人形のように血の通わない、したがって観る者が作中の登場人物に感情移入が出来ない、いかにも作り物といった作品に仕上がってしまっている。 結局人間の感情、心の揺れが表現できていない為に、叫びや血や涙や炎が飾りとしてしか機能しない。 面白いでしょう、怖いでしょう、可哀相でしょう、今の中学生ぽいでしょうはい二時間経ちました、映画です。そんな印象である。 只「なーんてね」は、非行の矯正など不要で、罪には罰を! という製作者の意思が見えて良かった。 しかしこれがキネ旬の二位とは邦画の(洋画も似た様な状況だが)現況に暗澹となる。 ベスト作品を一本を選ぶことさえ儘ならない時代に、ベストテンはいかにもつらいのではないか。 【高畑カムバックプリーズ】さん [DVD(邦画)] 3点(2011-01-22 01:08:59) (良:1票) |
108.《ネタバレ》 限りなく美しき中二病映画。およそ陰惨で鬱にしかならないような物語を、さすがの中島監督、とても魅力的な人々の映画として彩ってしまいます。互いに人を見下す人間達が織り成す、復讐心、偏見、いじめ、悪意の物語。いろんな負の感情を持った、人として成長できていない人々(数少ない大人の登場人物も含めて)を憎悪すべき対象とはせず、弱く儚い者として繊細な映像で表現してゆきます。連鎖してゆく悲劇が、流される血が、不気味な風景が、人の弱さをポジティブに見つめたアートのように組みあがって、むしろ私にとっては心地良いものにすら感じられました。それは個人的に、今年は父を亡くし、愛猫を亡くし、遺産相続で肉親といがみ合いという、負のただ中に生きているがゆえなのかもしれませんが。でも、この映画にそんな心地良さを誰でも、たとえ少しでもどこかしらに感じてしまうんじゃないかと思います。負の快感が全編に散りばめてありますから。受け手に負の感情を気付かせ、そこを肯定的に捉えるこの映画、タッチはとても冷たいのに人には暖かいという不思議な感じ。映像表現1つでモノの価値観をガラリと変えてしまえるんだよ、って中島監督の術中に見事にハマってしまったのでした。【追記】お知り合いや映画にうるさい人達から「これは映画じゃない」という批判をよく聞きましたが、mixiやtwitter、ブログでのお兄ちゃんおねえちゃん達の理屈じゃないウケ方、受け止め方を見ると、もう「映画」が終わって「映画じゃない何か」の時代になってもいいんじゃない?「映画」ってカテゴライズに拘るのはいいとして、それを声高に人に押し付ける意味はないんじゃない?って気もしてきます。好事家向けの美術館保存型な「映画」はどっかに残っていく事でしょうしね。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 10点(2011-01-21 08:28:47) (良:1票) |
107.う~ん ダーク。これはいいものだ。それぞれの告白により本当はこう考え行動したのだという事実が明らかになっていくのはとても面白かったし、人間の心理の奥深さに興味は尽きない。ただ原作を読んでいないせいか、見方を誤った面があり、原作小説を読んだ上で、つまり単なる復讐劇だと知ってる状態で見た方が楽しめただろうな、とは思う。 【リーム555】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-01-19 20:11:31) |
106.好評だし無料なので観てしまいましたが、後悔。正直、時間の無駄でした。告白といっても単にそれぞれの視点から語るだけでそこに特別なものは感じないし、何より中学生にスポットを当てすぎ。もっと復讐する教師の狂気を中心にしないと。 【爽やか林檎】さん [インターネット(字幕)] 3点(2011-01-18 02:09:14) |
105.めっちゃ暗い映画だけど暗さを感じなかったのは監督の腕ですかね。おもろいかった 【どちて坊や】さん [DVD(邦画)] 10点(2011-01-18 00:35:10) |
104.娯楽として観れば、ほぼ完璧と言っていいんじゃないでしょうか。 一瞬も目が離せなかったですから。 意見が割れる作品ではあると思いますが! 【ろにまさ】さん [DVD(邦画)] 9点(2011-01-17 00:23:05) |
103.《ネタバレ》 予備知識なしで鑑賞。予告などでは、娘を殺した犯人探しのミステリーと思ってたのだが、復讐劇がメインだったとは。わかりやすく形骸化された、残酷で自己陶酔の激しい厨二病の子供たちを、心理的かつ計画的に追い詰めていく森口先生がお見事。報復への情念を静かに演じる松たか子が怖い。怖すぎる。テーマや感動を求める人にはお勧めできないが、文句なしに楽しめる傑作。 【ブラック武藤】さん [DVD(邦画)] 9点(2011-01-16 20:21:33) |
102.《ネタバレ》 「世の中ナメくさって調子に乗ってるガキども、大人を本気で怒らすと痛い目にあうぜ!」と松先生がきっちりオトシ前を付けてくれた。 でも、そのガキをつくっているのは今の大人、親である・・・ 観ている最中は「自分の子は、これからどう育てていけば劇中の子供らみたいにならないか?」ばかり考えていた・・・。 【より】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-01-16 18:33:39) |
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101.《ネタバレ》 話題に踊らされるのが悪いと言われればそれまでですが、こういったたまに出てくる「問題作」的なものは、どうしても一度見てしまいます。 古くはバトル・ロワイアルあたりがそうでしたが、それより衝撃的でした。 基本的に「衝撃を与えること」自体がテーマであって、その背後に重いテーマが表現されているという風に、善意に解釈する必要はないと思っています。 極端に漫画的な人物設定や、PVのような画・構成など、一つの娯楽エンターテイメントとしてたまにはありかな・・・と。 それにしても、ここで出てくる親に象徴されるようなPTAやら教師やらには、到底容認し難い内容でしたね。 お堅い規制サイドは目くじら立てたと思いますが、作り手側はしてやったりでしょう。 主要登場人物を全て胸糞悪いキャラクターとして描き、それを最後までつらぬいて救いすら与えなかったことには、ある意味敬意を表します。 鑑賞後に残るものはありませんでしたが、大きな打ち上げ花火のようにドッカーンと一瞬で消えるのもまた良し、ということで。 【午の若丸】さん [DVD(邦画)] 5点(2011-01-16 09:12:43) |
100.《ネタバレ》 大人をなめると、こういう目にあうんですよ~。本当の「愛」を知ってる人間は、時には「鬼」にもなるんだ!いや、「鬼」なんて生易しいか。最愛の人を奪われた人間の復讐は、加害者の死だけでは心は収まらない。世間でもまれて、ぼろぼろになっても、まだ許さない。コワ~イ話です。ラストの一言で中島映画のテイストが守られた、という感じです。でも学級崩壊と言われて久しいこの時代、本当にこんなに教室って無茶苦茶なんですか?これは極端ですよね。子どもにこういう映画観せてていいのか?と思っちゃいました。 【トント】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-01-15 23:03:45) |
99.観て何も残らない。 良いですね、こんなに美男・美女の学校があるなんて。 【ナラタージュ】さん [DVD(邦画)] 1点(2011-01-15 14:56:26) (良:1票) |
98.面白いんだけど、こういうのが持て囃されるのはどうなんだろうか。それにしても上演後の劇場内に漂う微妙な空気、ありゃあすごかった。 |
97.《ネタバレ》 8点9点10点がガンガン入ってる中、非常に勇気が要りましたが正直に告白します。 「勇気を出して初めての告白」です。 これのどこが面白いのかさっぱりわかりません。 これのどこが衝撃的で、 これのどこがエンターテインメントで、 これのどこが映画なのかもさっぱりわかりませんでした。 多分、自分が映画に求めるものがこの映画とは正反対だったのでしょう。 世の中は概ね絶賛一色。アカデミー賞の“日本代表”にも選ばれました。 やっぱり評価されてるんだ。 この作品を楽しめなかったことは 自分の映画ライフの中でもかなりショッキングな出来事でした。 なんだか自分だけ取り残されているようで哀しいです。 まあ、たまにはこういうこともあるさ。 あ、でも橋本愛ちゃんが最高に可愛かったということだけは告白しておきます。 【8bit】さん [映画館(邦画)] 1点(2010-12-11 22:03:37) (良:1票)(笑:1票) |
96.いやぁ、これは面白い。道徳と倫理そっちのけでエンターテイメントに徹した近年稀にみる邦画です。暴力的に話を要約すると、中学生の教え子に一人娘を殺された松たか子が彼らに復讐する話です。人の痛みを理解できず、自己陶酔を自ら演出することに長けたいかにも現代っ子な中学生にたちに執拗な罠を仕掛ける松たか子の演技が冴えに冴え渡っており、彼女ゆえに本作が成り立っているとういえます。エイズ、少年法、殺すことの善悪など、いかにも映画のメッセージに成りえる要素を含んでいながら、それを軽がると無視する中学生の軽薄さと現実感の欠如と、愛娘を殺された松たか子の激烈な怨念の深さにハラハラドキドキしながら喝采する映画ですよこれは。原作が小説であることからかモノローグが多用されており、言葉ではなく映像で語るという点で物足りなさがあるものの、イメージ映像、スローモーション映像を刈り込めば、『パルプ・フィクション』クラスの世界各国に輸出できる極めて良質なエンタテイメント作品であると思います。バックに流れる音楽も素晴らしい。 【さめがい】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-11-21 23:50:29) |
95.《ネタバレ》 子供を叩き治す超スパルタ教育映画にも見えました。現実感覚を喪失した状態に陥っちゃうと、自分の痛みをなくし、他人の痛みも分からなくなり、殺人やったり、いじめやったり、リスカやったり・・・。とまあ、こんな人間沢山いるのではないでしょうか。物語の最後、主人公の少年が、内的世界から現実世界に舞い戻ってきた瞬間に、鼻血を流す描写が秀逸。HIVの伏線が効いてくるわけです。少年の嘘も黙秘も吐くふりも通用しない、生理的反応。現実感を喪失した世界で一番信じられるものです。本当に起こったことのように感じさせることが重要であって、実際に起こったかはあまり重要でない気がします。演出含め、結末さえも不確実に描いちゃうから上手いです。観客自身も、映画の中で起こっている胡散臭い世界から、後半につれていつの間にか痛みを感じることができるという物語の構造も良し。エヴァあたりから一気に量産された感のある、現実感覚を喪失した自分をモチーフとした作品群の流行に喝をいれた、インパクトのある快作だと思います。 【Nujabest】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-11-16 19:30:10) |
94.《ネタバレ》 告白とは主観だ。そこには話者の思い込みや誤解、そして嘘が含まれる。つまり告白とは純然たる真実をありのままに語るものであるとは限らない。少年と少女が睦まじく戯れる同じ光景が、少女の告白においてはまぎれもない恋である一方、少年の告白の上ではくだらない暇つぶしに過ぎないようにだ。いびつな道路反射鏡や防犯ミラー、あるいは姿見に反転させて中島哲也監督が描くのは、そうしたこの世界の不確実さだ。窓外の風景は常に磨りガラスやカーテンにより遮蔽され、リアルから切り取られたその世界の上空には常に不純物としての雲が配置される。時に鈍色に時に茜色に空を蔽う雲は、まるで真実を不透明に彩る彼らの告白=嘘の暗喩のようだ。森口先生の娘を殺した修哉と直樹それぞれの嘘、直樹の母親の嘘、修哉の理解者たる美月の嘘、1年B組の教室に渦巻く嘘、さらには熱血教師ウェルテルの滑稽な存在意義それ自体の嘘。だが、無限の嘘で塗り固められたその箱庭を、中島は最後の最後に容赦なく爆破する。そうしてそこにただ一つの真実を強烈に叩きつける。それは、粉々に魂を砕かれる人間の、想像を絶する痛みと、断末魔だ。中島が『夏時間の大人たち』や『嫌われ松子の一生』で祈るように描いてきた、階段上の一室で両手をひろげて自分を待ち侘びてくれる、大切なだれかの愛情。修哉にとってのその階段が、愛が、木っ端微塵に破壊され焼失するさまは、まさに胸をえぐるばかりの壮絶さだ。愛する人に見せたかったくだらない発明品=逆回り時計によって甦る彼の切望した光景が、針を戻したこの装置に再び跡形もなく焼き尽くされるその地獄。牛乳に血を混ぜたと語る森口の告白を、美月の告白における森口が覆したように、時限爆弾の顛末もまた森口の嘘であったかもしれない。「あなた方は嘘をつくのが実に上手」だと生徒たちを評する彼女にとっては、その嘘こそを彼らへの復讐の刃とすることに大きな意味があるからだ。大切なものが消える音が私にも聞こえたと森口は言う。すさまじい形相で彼女が放つ爆発音は、あの夜プールサイドで彼女自身が聞いた、その音でもあるだろう。そうして森口が突きつける、本当の地獄。想像を絶するその痛みに自らも貫かれた時、少年Aはようやく森口と同じ地平に立つ。リアリズムの映画ではない。正しい映画でもない。だが、ただ一つの真実が、凄まじいその痛みが、観る者の胸をも木っ端微塵に打ち砕く。 【BOWWOW】さん [映画館(邦画)] 10点(2010-11-12 15:32:24) (良:3票) |
93.これを映画と認めたら、映画が失われる。 せめて、血の通った人間を描いてほしかった。 【ボビー】さん [映画館(邦画)] 0点(2010-11-04 11:03:29) (良:2票) |
92.中島監督の前作『パコと魔法の絵本』と前々作『嫌われ松子の一生』に私が1点という低い点をつけているのは何もかもを映像では語らずに言葉で語っているからなんだけど、深田恭子の独り言のようなナレーションで進んでゆく『下妻物語』が6点なのは何故か。例えば『パコ~』で絵本の物語が言葉で紡がれてゆくのも『嫌われ~』で言葉が歌となってストーリーを語ってゆくのも全然かまわないのだ。大事なところ、伝えたいところまで全てを言葉にしちゃうからダメなんだ。『下妻物語』には伝えるべきメッセージなんてなく、ひたすらエンターテイメントギャグ映画だったから良かったのだ(人物の行動をちゃんと映画的に処理していたし)。そしてこの『告白』もまた登場人物それぞれの独白という言葉で進んでゆくが『下妻物語』同様にメッセージなんてものはなく、ひたすらマンガ的エンターテイメントであるから「重要なところを言葉で語っちゃう」ことを回避し、結果その部分での私の大幅減点も免れることになる。独白が必ずしも真実ではなく、イコール・ストーリとならないのもいい。が、そのことを訂正してゆくのも他の者による独白でしかないわけで、例えば少年と少女の関係が少年側からと少女側からでは全く違うということだって一つの画で現せることは出来るのだ。もちろんそれぞれの独白が違う事実を語ることに面白さがある作品なのはわかる。でもその一つの画を「伏線」として出すくらいしてくれないと、私の中での高得点はあり得ない。あしからず。 でも5点は合格点ですから。 【R&A】さん [映画館(邦画)] 5点(2010-10-28 14:10:15) (良:1票) |