248.《ネタバレ》 長時間ものなのに一気に楽しめました。
人間もよく描けていたし、脇役の活躍も見事。
ただ、あのだらだらとした恋愛のやりとりはどうだったか、ちょっと冗長だと思った。
あれは全部カットしていい。それでなくても尺が長いんだから。
あと、「休憩」だけを延々と写し続ける10分間は必要だったのかな。
当時の雰囲気は伝わるかもしれないけど、微妙だった。
有名で名高い戦闘シーンだけど、あらもいろいろあった。
たとえば勝四郎が、柵を上って逃げる野武士のわき腹を下から突き刺すシーン。
刺さってないし、服も切れてないし、なんでアレでやられているのか不思議。
また、種子島に撃たれた菊千代が撃った相手を切り殺すシーン。なんで鉄砲を持ったやつはとっとと逃げないでさされるのを待っているのか。またさされた後、端から転落するが、カットのつながりが不自然。
尻を刺されただけで死んだやつもいる。
このあたりは作り方が残念だった。
一方、あまり話題にのぼらない米の飯を突き出して侍を説得する人足とか、琵琶法師、与平の表情、息子のかたきうちをするばあ様の無表情、逃げ惑う野武士のそれぞれの姿など、リアリティ満載、雰囲気たっぷりの名シーンも数々あった。
うまいなと思ったのは、菊千代の名前の由来のシーン。物語の設定されている年代、菊千代の履歴が偽者であること、千代という単語がどういう意味を示すのかを知らない無学(つまり百姓)なキャラクター、半端者、偽者のキャラクターイメージ、いろんなものが見えてくる仕掛けになってる。
それから、侍の側も4人死亡する。これもリアリティに寄与。
この作品を参考にしたという荒野の七人は、このあたり能天気でいささかしらける。
何度見ても見飽きないと言う点で、やはり「名作」かもしれない。