40.「家族の崩壊」が表向きのテーマだが、実際に描きたかったものは違う。それは、笠智衆の達観ぶりとその「背中」が物語っている。長年連れ添った妻が亡くなった朝、外で朝焼けを眺めながら「きれいな朝焼けじゃった。今日も暑い日になるぞ。」と言いながら家へ入っていくシーンが象徴的。この無常観の描き方には鳥肌が立つ。人間、家族を築いても最後は自分一人、そして朽ちていく・・。それでも、それを受け入れて生きていく姿、悟りの境地が笠智衆の背中に表れている。 【STYX21】さん 10点(2003-12-31 16:54:34) (良:1票) |
39.おばあちゃん子である僕は、なんどもなんども泣きそうになり、もうやめよう、観ていられない、と何度も中断しようと思いました。日本人ってこんなに優雅で温かかったのかと思わせる主役の老夫婦と、日本人ってこの頃から醜悪で無機質なのかと思わせる当時の若者と、家族の絆って所詮こんなもんなのかと思わせる子供たちのそれぞれが心に強く響いてきました。 そして何より、二人の女性の家族観。原節子の台詞は正論だと思う。でも、僕は出来る限り「京子さん」でいたいと思った。 |
38.見る前は無機質に話が進む映画なのかなと思ってたけど、案外泣ける話だった。確かに淡々とはしているけど、一つ一つの言葉が芸術的で印象に残る。今はまだ漠然と良かったって感じる程度だけど、経験を積んでいけばよりその言葉が胸に響くのだろう。 【ボーリック】さん 8点(2003-12-24 00:24:18) |
37.心底、親身に世話をしてくれ、暖かく接してくれたのは、血を分けた子供たちではなく、赤の他人だったというやり切れなく、どこか諦観を感じさせる。それでいて、どこまでも暖かく、美しい傑作。ホームドラマだけど、ここまで達したら「芸術」と言っても、なんら差し支えないだろう。人は、しょせん生まれて、育って、年老いて、死ぬ、ただそれだけという「無常観」を言おうとしているのだろうが、人間はそれを営々と続けていくのだということに同時に希望もあると暗に語ってるようにも思える。あまりに、慎ましく、ささやかな希望だが。満点にしなかったのは関西人の僕には小津の映画は、いかにも「東京」の映画で、そこに憧れもするが、ちょっと気障かなという印象も受けるので。関西人は、小津より溝口なんだよな・・・。 【ひろみつ】さん 9点(2003-12-21 00:49:14) (良:1票) |
36.見た後に涙が止まりませんでした。日本人の綺麗な部分と情けない部分が実に上手い具合に演出されてると思います。言葉、映像が美しく、心がホッとする作品。 【VNTS】さん 10点(2003-12-20 03:06:41) (良:1票) |
35.この映画、私にとっては歳をとるにつれてより強く心に響いてくる映画だ。先日BSで見た時には原節子が「毎日が何事もなく過ぎて行くことが耐えられないです。このまま行ったらこの先どうなっちゃうんだろうと考えると恐ろしいんです。」と言う言葉が身につまされた。死んだ旦那の事を思い出さない日が多くなり、ひとりじゃとってもいられない。ホントは明日にでもお嫁に行きたい。けど、そんな人間が現れないのか彼女に勇気がないのか・・。そう考えると彼女の義理の両親に対する心遣いには、どこかに罪悪感もあったのではと思えた。「私、ずるいんです」と言って泣く彼女は笠智衆にそんな気持ちを分かってもらい、さらに許してもらいたかったが、「それでいいんじゃよぉ」と微笑む笠にはどうやら通じなかったようでそこがまた痛い。悲しんだり現実的になったりする死にまつわるシーンにも馴染み深いものがあり後半は泣けてしょうがなかった。人間てちっぽけで悲しくて、でも美しいもんだなぁと思った。 【黒猫クロマティ】さん 10点(2003-12-15 11:59:17) (良:5票) |
34.上京した老親と子供、孫達の有様を淡々と描いているだけに、逆に当時の日本人のごくありふれた日常生活の貴重な記録となっている。人々の立ち振る舞い、言葉遣いのきれいなこと。私達は何でこういう素晴らしいものをいとも簡単に忘れて来てしまったのかと思う。また人々は良く掃除をし、家をきちんと片付ける。あの頃、片付けられない女達はいなかったんだろうか?忙しい忙しい、だから仕方ないを連発し自らを納得させる娘と息子達。そんななかで、亡き次男の嫁だけが心の通ったもてなしをする。原節子は顔の作りも表情も演技も1人だけ全く異質で、浮世離れしている。まるで空から舞い降りた天女のようだ。これに多分、杉村春子演じる娘のような現実の女を日々相手に生きていかねばならない男性は、当時コロッとまいったのだろう。今ではあまりに非現実的過ぎ、お笑いにしかならないだろうが・・・。映画自体は多くの人がいうほどそれほど胸に迫るようなものではなかった。「ショーシャンクの空に」とかこの映画とか、そこまでいいか?私にとってもっといいものはたくさんある。だから、私は日本では生きにくいんだ、と思ってしまう。 【大木眠魚】さん 7点(2003-12-14 00:45:00) |
33.自分にとって初の小津作品。「・・・何も起こらない」とか思いながら観ていたら、いつのまにか引き込まれていた。これが小津マジックか・・・。美しい話し方、所作。奥ゆかしい女性。こんな時代があったんだねえ・・・さすが美輪明宏の御推薦。話に聞いていたカメラ目線で喋る役者、部屋の奥のほうから映す「小津ショット」、カメラの位置がやたら低いとか、そうした所も新鮮だった、と同時にハリウッドに全く影響を与えなかった理由も何となく分かった。まさに「動の黒澤、静の小津」。笠智衆が三船敏郎だったらどんなだろうと考えたら、笑けてきた。原節子は綺麗だなあ・・・。 【C-14219】さん 8点(2003-12-12 23:11:51) (良:1票) |
32.全ての人は自分の生活を持ち出し,自分が一番になってしまうという紀子さんの言葉に同感してしまった.映像の中ではあのような息子達を非難できるが実際の自分をふりかえると・・。母親の私らはしあわせなほうですよ言う台詞が自らに言い聞かせているようで悲しかった. 【俺は直角】さん 8点(2003-12-10 01:09:37) |
31.30代前半ですが、よさがわかりませんでした。 でも、原節子さんにはまいりました。 【TU】さん 5点(2003-12-08 06:49:33) |
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30.日本人なら見るべき。回顧的になってしまう危険性有りですが、、、。老夫婦や原節子の話し方だけでもハマります。杉村春子、最高に嫌な感じ(うまい!)。反面教師になります。 【コーラL】さん 10点(2003-11-16 22:02:46) |
29.タイアップしてくれなかった腹いせに熱海は俗悪に描いていて、東京や尾道は、比較的きれいなところしか撮っていないのは、小津安二郎の人間性を疑うのだが、それでも、余りある魅力に満ちた作品。とにかく、シビアである。現在でも見ごたえのある映画になっているのは、杉村春子の好演に尽きる。 【ノーコメント】さん 10点(2003-11-08 18:34:15) |
28.素晴らしい空気感、絵、人間の描き方。This is 日本映画! 【彦馬】さん 10点(2003-10-03 22:47:07) |
【フグ太】さん 8点(2003-09-25 04:21:35) |
26.「世の中ってつらいことばっかり」っていう原節子の言葉にはいろんなもんが詰まってて感動したね。それと東村千栄子と笠智衆の夫婦って実際かなり歳離れてるが 自然なところがすごいよ。笠は原節子の兄やったり、親父やったりしてっけど、歳の差に違和感ないからすごいよなー。 【たましろ】さん 10点(2003-09-24 23:09:59) |
25.小津映画初体験。途中から田舎の母親を思い出して涙が止まらなかった。いい映画って本当に無駄がないですね。 |
24.静かに流れるストーリーの中で、それぞれのシーン、いい絵だなぁと感じました。夫婦の自然な会話がなんともいえない味を出してて、特に笠の間の取り方は絶妙。 【A_sui】さん 8点(2003-08-23 02:40:06) |
23.日本はもちろん、世界的にもトーキー以降の最高傑作だとぼくは信じています。それ以上、何を多言する必要がありましょう。そして、原節子はぼくにとっても永遠の存在です。世の中から映画が失われても、この1本さえあればいいです。ぼくは。 【やましんの巻】さん 10点(2003-07-15 14:36:17) (良:1票) |
22.日本にもこういう時代があったらしい。その頃に生活していた人たちの幸せを羨みます。 【KINKIN】さん 9点(2003-07-10 21:50:35) |
21.「じゃ、お姉さんも?」 「ええ、なりたかないけど、やっぱりそうなってくわよ。」 「いやぁねえ、世の中って・・・・」 「そう。 いやなことばっかり・・・・」 アぁ、そうなんですねェ、人間は・・・世界は。 撮影後ネガが火事で焼けてしまい、誰もオリジナルネガからの作品は観れないという不幸の中に、それでも尚、小津の魂の結晶がこうして観られるという幸福感。 その異端ぶりを、日常的なるものや緩やかな映像に隠した深く厳しく美しい大傑作。 【るーす】さん 10点(2003-06-07 17:22:00) |