1.《ネタバレ》 世の中には数多の映画がある。
その中の一つのタイプとして確実に存在するのは、「胸糞の悪い映画」である。
最初に断言すると、この映画、間違いなく“胸糞悪い”。
これほど悪趣味な映画は久しぶりだ。
フランク・ダラボンという監督が、この映画で伝えようとしたテーマ性は分かる。
正体不明の“霧”に覆い隠された田舎町。
霧の中に存在する確実な恐怖と、更にじわりじわりと染み出るように現れる人間の精神の中に潜む恐怖。
二つの恐怖に襲われた人間たちが、極限状態の中で見せる「行為」こそ、最大の恐怖であるということ。
ミステリアスなエンターテイメント風な映画世界の中で、じっとりとその「恐怖」についてのテーマを描き出した試みは、おそらく監督の意図通りだったのだろう。
しかし、人間の良識として、この映画を肯定するべきではないと思う。
映画表現が「自由」である以上、どんな映画であっても、存在すべきだ。
ただし、それと同様に、映画に対してどんな評価を下すことも「自由」だ。
俳優の演技が素晴らしいとか、映像が美しいだとか、
映画の評価なんてものは、詰まるところ、「好き」か「嫌い」かだと思う。
つまりは、僕はこの映画が「嫌い」で、「クソ映画」だと思うということ。