1.《ネタバレ》 もうね、まず、映倫というところはちゃんと映画も見ずに審査しているどうしょうもない機関だということがはっきりわかりましたね。
もし、本作をきちんと観た上で「映ってもいない性器」をカットする必要性があると判断したというなら、もう映画というものがなんにもわかっていない蒙昧極まる人たちなので、そのような人たちが審査をしたり、いわんや「優れた映画の選定」なんかをしているなんて、お粗末すぎて嗤うしかありません。
あのぼかしが入っているシーンに映っているものは、男性器を去勢したことを示す傷跡です。
つまりオスカーが幼い慕情を寄せた相手は、人間でもなければ、女性でもなかったという残酷で極めて重要なシーンなのです。
しかしそれでも、彼らは共に生きて行こうと決意する、その純粋さに観客は胸を打たれるのです。
本作は単にホラーとしてのヴァンパイアものにとどまらず、捕食者と餌者である2人の間に存在する絆や、生物が生を得るためには必ず犠牲を必要とするその残酷さと哀切を静かに詩情豊かに描いた秀作です。
撮影や音響も素晴らしく、褒めたいところが山ほどあります。
ですが、原作など作品以外の情報で補完しなければ本来の物語を理解できない映画は映画とは呼べないし、核部分を隠されてしまった作品について感想を述べることなど出来ようもありません。
従って、この素晴らしい映画に、私はとても悲しいけれど、あえてレビュー不能の0点をつけたいと思います。