1.《ネタバレ》 「好きな人を助けたいなら殺人OK」と推奨する映画。
なぜなら、主人公による殺人を「美談」にしてるから。
私はホームレスは嫌いで、近くにいたら息(呼吸)を止める。
でも殺してもいいとは思わない。だって同じ人間じゃないか(棒読み)。
ところで、ゴダイゴのヒット曲『ビューティフルネーム』が好きだ。「♪なまえ、それは、もえる、猪木」。
たぶん石神は、殺したホームレスの人の「名前」を知らない設定。
「愛する女性を救うため仕方がないんだ。あんたが誰か知らないが、悪いが死んでくれ!」
「はァ?」
今敏監督の映画『東京ゴッドファーザーズ』が好きだ。
ホームレスといってもね、色んな境遇の人がいると思いますよ。挑戦して大失敗、保証人で夜逃げ、家出など。
殺人は起こる。だって人間だもの。
でも、人を道具扱いして殺した男の物語を「美談」にしてるこの映画はね、やっぱりね、ダメですよ。
★文句無し、躊躇なく0点!
【追記】
サム・ライミ監督作『スペル』の主人公の女性は、死の宣告を他人に肩代わりしてもらえる人を探す。たとえばホームレスを見るとき、迷い、罪悪感を感じる。
だが、この映画の主人公の男は、愛する女性が逮捕されないためにホームレスを殺し、罪悪感がない。テレビ放送ではそう思ったし、主人公はホームレスの人生を完全に無視していた。それが人間の現実かもしれない。だが映画でそれは困る。
【追記2 2024-05-15】
難病の幼い我が子(娘)の手術費用のために、本を読まない男が、大金だけを目的に「名前も作品も知らない人気小説家」の家に強盗に入って大金を得る。我が子は海外で手術をして、大成功してニュースにもなるという話。酷いことに、男は強盗の時に小説家の幼い娘を「顔を見られた」という理由で殺していた……。
犯人の男は身勝手だが、父親として、我が子を助けるために必死で強盗をした。もし逮捕されれば、我が子は殺人者の娘ということで非難されるため、絶対に捕まるわけにはいかない。犯行を有耶無耶にするため男はある行動をして成功し、犯行は永久にバレることはない…という話。
さて、もしそんな小説がヒットして、さらに感動作として映画もヒットすれば、その映画を観る小説家や小説家志望者が大勢いるだろう。だけど、どんなに映画が面白かったとしても、小説家とその娘が被害者だから、小説家や小説家志望者たちはとても不愉快な気分になるような気がするのである、たぶん東野圭吾氏も。
【小情報 2024-05-15】
文藝春秋の「オール讀物」2005年9月号の405頁で、この『容疑者X』の作者東野氏が自作『容疑者X』について「会心作です」と語っている。