3.《ネタバレ》 前半は、良質なサスペンス。善良な親子がとつぜん凶悪犯に目をつけられてしまい、人質になりながら国外逃亡を無理やり手伝わされる。
果たして親子は途中で殺されてしまわないか、仮に成功したとして無事に解放されるのか。先を読めない展開に目が離せない。
子供を守ろうとする父親(H.カイテル)と、イカれた犯罪者兄弟(クルーニー、タランティーノ)の熱演、掛け合いがすばらしい。
しかし後半は、話の趣が完全に一転する。人々が唐突に吸血鬼・モンスター化していき、ハチャメチャの殺しあいをするSFスプラッタホラー。
後半部分が非常につまらない。アクション、メイク、展開、すべてがチャチ。血しぶきや内臓が激しく飛び散るが、コミカルなメイクとノリのせいでグロくも怖くもない。
カイテルとクルーニーの熱演は後半部分でも素晴らしいが、逆に存在が浮いてしまっていた。
フィクションとはいえ、親子の命運がどうなるかハラハラして前半観ていたのに、SFになった途端どうでもよくなる。
途中からSFホラーになるような前兆は途中までまったく感じさせなかったが、ホラー好きが満足するような味変でもないので、斬新とも思わなかった。
史上最低映画と評される『死霊の盆踊り』でさえ見どころがあるだけにレビューしたら1点はつけると思うが、
この映画は前半の見どころ(ストーリー)を後半で完全に打ち消してしまったので、それ以下だと思う。
前半が8点、後半はマイナス8点。結果的に2時間が無駄になった。
20年近くJTNEWSでレビューしていなかったが、これは投票所に行かなくてはと思わされた内容だった。