1.酷い。もう一度言う。酷すぎる。
「これは本当に『踊る大捜査線』なのか?」
まるで格好良さの無いオープニングタイトルから始まり、終始そういう絶望的な疑問を抱えたまま、2時間半という時間だけが過ぎた、という印象。
何の緊張感も緊迫感もない展開の中で、お約束的な笑い要素だけが虚しく繰り広げられ、上映中何度も「そうじゃないだろう」と呟いてしまった。
何がどう悪いのか、もうそれを列挙することすら馬鹿らしい。
“THE MOVIE 2”の直後、いかりや長介が他界し、スピンオフ作品は別として、もう「踊る~」の続編は観られないのだろうなということを覚悟した。
それから7年の年月を経ての満を持しての最新作。
当然、”和久さん”の登場はなく、柏木雪乃役の水野美紀も”大人の事情”により降板。果たしてどんな最新作になるのか?という多少の危惧はあったが、それでもとても大きな期待が圧倒的に上回った。
だからこそ、公開初日の初回上映に足を運んだ。
上映が始まり、あまりに魅力の無いオープニングに「おや?」となり、ただただ繰り広げられるチープなコメディ展開に唖然とし、このシリーズ作の全てで魅せてくれていた高揚感の完全欠如に呆然とした。
製作スタッフが入れ替わったのならまだ納得も出来る。
しかし、製作も監督も脚本も紛れもなく「踊る~」を創ってきた者たちである。
それを知っていたからこそ若干のレギュラーキャストの変更を踏まえても、期待が勝った。
しかし映し出されたものは、キャスト陣を含めて、かつてのコンビネーションなんて微塵も無い、ただ「踊る大捜査線」というマスクを被っただけの「偽物」だった。
その根本的な原因が何なのかは知る由もない。
ただ言えることは、この映画が、同じ製作チームによる「自滅」という名の「裏切り」であり、このシリーズ作品のファンに対する「冒涜」以外の何ものでもないということだ。