5.小松左京氏のSFはたくさん読んでいて好きでした。この映画の原作も読みましたよ。当時の日本のSF界ではまぎれもないトップランナーで、スケールの大きな作風はクラークに通じる読み応えがある、などと私は思っていました。(褒めすぎ…?)
でも、映画になるとダメなんだよねぇ~。何が(誰が)ダメなのか? この映画に関しては、しっかりと製作に関わっていたから言い訳できないんだけど、小松氏はやっぱり活字の人ということなんでしょう。
それと、日本の映画の作風がこのジャンルと相容れなかったことも大きな要因だと思います。原作をフツーに映画にすることすら出来ない。変なところ(例えば無重力セックス)に力を注ぎ、余計な突っ込みどころを累積させる。精神性を強調し過ぎて、共感を減衰させる。日本映画の特徴みたいなものが悪い方向にストレートに出た作品ですね。
もう少し突っ込むなら、監督の責任は大きいでしょう。例えば、リドリー・スコットにこの原作を映像化させたら面白いものになった気がします。映画は「監督のもの」です。
この映画のエンディングで、小野みゆきがいきなり「いやよ!」って叫んだのを覚えてます。どんなシーンだったかは曖昧になってますが、その芝居がものすごーく大根でした。キャスティングの問題も大きいですね。