5.80年代以降、「イーストウッド監督作品ではないイーストウッド主演作」ってのが、そこそこ貴重な存在だったりする訳ですが、本作もその一本。監督はあのペーターゼンで(「あの」というのは「あのUボートの」という意味であって、今もって他に代表作を挙げにくいのです、このヒトは)、主演俳優自身が監督してないことが幸いしたのかどうなのか、いかにも「イーストウッドの溢れんばかりの魅力を、この主人公にバッチリ投影して撮ってやるぜ」みたいな感じなんですね。ジジイなんですけれども、背筋を伸ばして貫録があり、ピアノをさらりと弾いて見せたり、同僚の女性警護官とネンゴロな関係になってみせたり、ジジイはジジイでも、なかなか色気のあるジイサンとして描かれてます。まあ、もし本作を自分で監督してても、厚かましく色気たっぷりに描いていたのかもしれませんけれども。
しかしジジイはジジイ。観てるこちらとしても「おい、ジジイ。現役復帰はいいけれど、ホントに動けるのかよ」と言いたくなる。動けるのか、動けないのか?そこが見どころ。
で、まずは、走りながら息切れするところをしっかり見せつけて、「撮影中に斃れるんじゃないか」と我々をヒヤヒヤさせてくれるのですが(演技ですよ、演技!)、ジョン・マルコヴィッチに対する追跡劇などでは、自ら体を張ってるところなんかも見せてくれて、おお、ジジイ、ちゃんと動けるじゃないか、と。はい、すみません、ワタシなんかより余程、動けてます。
そんなこんなで、いよいよ犯人が大統領を狙うクライマックス。この緊迫した空気がいいですね。厳重な警備がカッコよくって、その警備をかいくぐる犯人がカッコよくって、その犯人に対峙するジジイがますますカッコいい。シビレます。