74.《ネタバレ》 随分前、テレビで見たのですが、改めて見たら、やっぱり凄く面白かったです。
こういう「仲間集め」から始まるの大好き。
7人のキャラも立ってていいし、黒沢組常連の志村喬は、こういう軍師とかリーダー役がピッタリ。
そして三船敏郎。言い尽くされてるけど、この菊千代というキャラクターがいなかったら、ここまで名作になったかどうか、というくらい重要な役どころを見事に演じてます。
元百姓だからこそわかる百姓の狡さ、哀しさを代弁し、皆をののしりながら励ます。
乱暴者のようで心根が温かいのがわかるから子供たちも懐く。
百姓と浪人たちを結びつける菊千代の存在は大きい。
一人だけ生き残った赤ん坊を抱いて「これは俺だ」と泣くところは、今も思い出すだけで泣けます。いつもおどけてふざけてる菊千代のもう一つの顔が見えるところをちゃんと入れてるところ、さすがです。
CGなんてない時代に、あれだけの迫力ある映像を撮るとは、とこちらも驚き。
大雨の中の合戦。逃げ惑う馬、馬上の野武士、追いかけながら刀や槍を振り回す浪人や百姓。
泥水の中、転げまわり、はいつくばり、逃げて追いかけて、どのシーンも見ごたえあるから逃さず映し出す。
素晴らしかったです。
勝四郎と志乃の初々しいロマンス。志乃の方が積極的なのが面白かった。
最後かもしれないからと娘の顔を見るために探し回る万吉に対して、父親より勝四郎という志乃。
父親って辛いですね。
女房を野武士に攫われた利吉の苦しみ。
慰み者になってた女房が利吉の姿を見て、助けを求めるどころか炎の中に飛び込んでいくところ。
ずっと苦しい顔だった利吉が、最後の田植えのシーンでは吹っ切れたように笑顔で田植え歌を歌っている。
久蔵を尊敬の目で見つめ「あなたは素晴らしい人だ。それがずっと言いたかった」という勝四郎の表情や、その後やれやれという感じで、まんざらでもなさそうに口を緩ませる久蔵。
その他、キリがないくらい、素晴らしいカットが豊富で、207分が全然長く感じなくて少しもダレたり飽きるとこがなかったです。絶対見るべき映画の一つなのは間違いないです。