5.《ネタバレ》 「ぼくドラえもん」「ポケットの中に」が聞けないのが残念だが、主題歌も新たに絵柄も少し新しめになってきた長編三作目は、その名の通り魔境探検から始まり、内乱に巻き込まれるという壮大なスケールを持った物語。
なんといっても、この映画はジャイアンのための映画といってもいいでしょう。やたら上機嫌で冒険を始めるジャイアン、酷い目にあってやられキャラのジャイアン、横暴でワガママなジャイアン、自分のせいで皆を危険にさらしいじけるジャイアン、犬と心を通わせ涙を流すジャイアン、責任感と勇気をもち立ち上がるジャイアン。この映画のおいしいところはほとんどもっていってます。今後の劇場ジャイアンの活躍の原点。
かといって、他のキャラクターもおろそかにしているわけでなく、それぞれ見せ場があります。のび太がほどよく脇に回っているのが良い。探検で常にしずかちゃんをエスコートするのび太に感心させられたと思ったら、逃げ出す時は一目散なところなんか、やっぱのび太だなーと思ってにやけてしまいます。
敵もガチでのび太達を殺しに来て、槍だけでなく戦車や飛行戦艦でドンパチのスペクタクルが熱すぎる。命がけの戦いで緊張感があるのに常にどこか軽くて笑えるという要素が共存しているのは奇跡的。制作者の愛を感じます。ジャイアンのテーマが流れ、鉄也の曲に切り替わり、皆が立ち上がるシーンは鳥肌立ちました。見事な脚本、演出。これぞドラえもんムービー。