《改行表示》7.《ネタバレ》 黒沢清が一貫して描いてきたのは、個と個、個人と世界の関係性、〈コミュニケーション(不全)〉についてだ。『CURE』『カリスマ』とその世界観を徐々に拡大していき、本作においてはついに此岸と彼岸の境を取り払ってしまった。世界を繋げる媒体であるインターネットを介して、「あの世」から死者が押し寄せてくる。孤独や絶望が人々を死に向かわせ、世界は死者(幽霊)で溢れ返ってしまう。この終末感が素晴らしい。動きがヤバイ幽霊や飛び降り自殺の映像など、目に焼きついて離れない。これぞ黒沢映画の最高傑作。 【フライボーイ】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-03-07 01:06:55) |
《改行表示》6.《ネタバレ》 これはホラーといえるのかどうか‥ この映画に横たわる「孤独感」を共有できるかどうか、 それが評価の分かれ目だと思います。 問題の飛び降り自殺のシーンを観ても、 この監督は「さりげない怖さ」を演出するのが本当に巧いと思います。 【彬彬】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-12-21 15:02:05) |
5.ホラー映画のオチは、たいてい不遇の死を遂げた人間の怨念が原因となっている。怨念は閉じられた場所でそれに関わった人間や時には全く関係のない者に危害を与え、用が済めば消えるか、あるいはその場にとどまり続ける。これが起こっている世界はそれゆえ非常に狭い。何というか都市伝説的だ。と、確信するほどにホラー関係に詳しいわけではないのだが、これが世界の崩壊に導くほどの範囲を描いたものに「リング」がある。伝染という発想がこれを可能にした。ただ、「リング」ははっきり言って発想だけ。映画として(小説でも)世界の崩壊を描けたかというとはなはだ疑問で、それは多分主人公達が恐怖の発信源に近すぎるからなのだと思う。で、黒沢の「回路」。ここまでホラーの話で引っ張ってみたが「回路」はホラー映画ではないかもしれない。ただ恐怖という原点は同じなので強引に進めると、この映画は個人の怨念に恐怖のもとはない。「死」というルール(法則)そのものからあの映像を具現化させている。魂というものがあるならば死後の世界にもルールがあるということだ。そのルールの崩壊が同時に世界の終末の始まりとなる。この映画がうまかったのはそういう死の永遠の孤独と、ネットという開かれているようで実は閉じられた世界を違和感なく変換できたことだろう。この変換の媒介となったものこそ「開かずの間」で、それはこの世に一個ではなく個人が一つずつ持っている。つまり中心がない。中心がないということはどこでも起こりうるということでもある。地上からどんどん人が減っていく感覚。黒沢監督はアンゲロプロスのようにロケは曇天にこだわり、時にはデジタル処理を施して崩壊のプロセスを展開した。システムは一度動き出すと、それが複雑であるほど止められなくなる。それはこの映画で見た未来の方向性とどこか似ている。 【Qfwfq】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-05-15 16:25:03) (良:1票) |
4.黒沢監督の今までの作品があまり好きではなかったのですが、これは当たりでした。世の中に張り巡らされた「回路」の中で生きる上で湧き出てくるオブセッションを、非常に上手く隠しつつも見事に表現した作品です。映画の構造、隠された意図ともに、ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」に酷似していますが、扱っている題材がまったく異なるのでほとんど気にならず。映像の恐怖の裏に隠された、さらにもう一つの恐怖を見つけるのはホラー映画の醍醐味ですね。それゆえ写し出される映像を単なる現象として把握してしまうと理解が難しい映画かもしれません。まさに予定調和の大団円に辟易してる人向けです。 【定方】さん 9点(2002-06-06 17:42:58) |
【自己流】さん 9点(2001-09-11 19:36:34) |
2.部屋に一人閉じこもって、まるで生活のすべてであるかの様にインターネットに没頭する若者たち。映画は、生きていながら死んでいるような、そんな彼らに対する批判あるいは皮肉を描いているともとれる。だから「繋がっているようで、繋がっていない」というセリフが妙に真実味を帯びてくるのである。どこまでが日常で、どこからが非日常とかいった境界が、ここには見当たらない。だからすべてが現実であり、すべてが夢のようでもある。終盤、上空を飛行機が炎を上げて突如出現し、やがて落下して爆発炎上を起こす。この予想外のスペクタクル・シーンは、数々の幽霊の描写(これがかなりリアルで怖い!)ともども、いつか見た夢の中に出てきたシーンと錯覚をおこす程、我々に不思議な感覚をもたらす。 【ドラえもん】さん 9点(2001-02-25 00:03:46) |
1.小説を読んでないと意味がわからない人もいると思う。どう書けばいいかわからないがよい映画だった。見終わってからだんだんくる感じがする。 【M】さん 9点(2001-02-16 13:53:28) |