1.《ネタバレ》 安全安心のループ人生は、未来に対する夢と希望を放棄して得たもの。不老不死、何人からも脅かされない人生は、確かに魅力的ではあります。世間の酸いも甘いも知り尽くした大人(一般的には親。本作の場合は守護者)からすれば、“見えないモンスター=世間の迫害”から愛する子供たちを守る事に大義はあるでしょう。しかしその一方、その選択が本当に子どもたちにとって最善と言い切れるのか?という葛藤も、ミス・ペレグリンの何処となく不機嫌な態度から観てとれるような。少なくとも、奇妙な子供たちの親は皆、ループ人生を選ばなかったに違いないのですから。そんな囚われの天国(永遠のモラトリアム)にやってきたのは、透明なモンスターを見る能力を持った少年。そう、彼の長所は単に“見える”だけです。モンスターと戦う力は持ち合わせていません。ここがポイント。彼は“勇気”の象徴でした。実際に戦って勝てるかどうかは別問題。それでもなお、戦おうとする心が勇気です。戦う能力はあっても、戦う勇気を持たぬ子供たち。戦う勇気があっても、戦う術を持たぬ少年。この出会いに意味が無いはずがありません。果たして彼らは、力を合わせて危機を退けました。勇気を知った子供たちが次に戦う相手は一体何でしょうか。前の“勇気”はチャンスを逃しましたが、今回の“勇気”はどうやら待ち合わせに間に合った様子。1人で戦えぬのなら2人で戦えばいい。捨てたはずの夢と希望が、今また手の届くところにある幸運を、彼らは知らねばなりません。いや、その気になれば何時だって、誰だって。キスそして船出。映画的に極めて正しいエンディングには、子供たちの輝ける未来が詰まっています。