64.《ネタバレ》 どうでもいいけど、「444」番目のレビューとはちょっと不気味。
最初出て来た1枚の写真。
何が起きているのか解らないと思っている内に、ポラロイドカメラ、男の死体、それを殺す瞬間と次々に逆再生で状況を伝えていく。
冒頭が語るように、「メメント」は逆再生の映画だ。
デビュー作の「フォロウィング」の形式に似ている。
主人公が何故その男を殺す事になったのか、そのキッカケは何だったのかを観客の視点で遡って行く。
電話の主が最後まで明かされないのも、観客がその正体を追っているためだろう。
一通り見た後、チャプターで最後からもう一度見返すのもまたこの映画の楽しみ方。
冒頭部分を「逆再生」して本当の順序を把握するのも一興だろう。
夥しいメモ、写真、肉体に刻まれたメッセージ、頭に残る記憶、記憶、記憶。
ある事件がキッカケで10分しか記憶が持たない状態になってしまった主人公。
彼のその“後遺症”に目を付け、複数の人間が彼を自分の私利私欲のために利用し、身を破滅させていく。
主人公が語るように、記憶は記録ほど正確じゃない。
かといって、記録もまた他者が手を加える事でどんどん正確じゃなくなる。
復讐を生きがいにしてしまった主人公。
それを利用する者も、彼に利用されていた事に気付く。誰かが気付いても、肝心の主人公はすぐに忘却。
嫌な事を忘れてしまうべきか、覚えておくべきか。
忘れたくても忘れられない人もいるってのに・・・便利なんだか不便なんだか解りゃしない。
だが、それでも体は反射的に“何か”を覚えている。
温もり、痛み・・・主人公が持つ“注射針”もそれを物語る。
彼の肉体に刻まれた記憶が彼自信の脳味噌を、魂を解放しない限り殺人は永遠に続いていくのだ。怖い映画だよ。
襲ってきた男をぶん殴って監禁した話も「誰だっけ」なんだぜ?
怖すぎて笑えねえ。