4.《ネタバレ》 この映画ファーストシーンは薬師丸ひろ子の処女喪失である。この映画が公開された当時は今よりはっきりとアイドルというのは存在していたし、その中で薬師丸ひろ子はTOPアイドルして映画、歌ともに興行的にも成功していた。しかも他のアイドルと一線を画して、ちょっとやぼったいが作られた感じのしない透明感のある不思議な存在だった。
当時、彼女のファンだった子供の私はこのファーストシーンをどう見ていたのだろう?忘れてしまいました。理解出来てなかったのかもしれません。
今回見直してみて「結局寝てもらっただけなのよね」などという台詞をさらりという彼女を見て年甲斐もなくドキリとしてしまいました。(ジジイの戯言になってきたな・・・)
ただこの映画を久しぶりに見て、元ファンの思い入れを差し引いてもここまで「映画」として完成度が高いとは思いませんでした。
映画がゆっくり始まり、途中から急にスピードアップして緊張感がまして行くのですが、それにしたがってワンシーンが長くなっていく。原作「Wの悲劇」の舞台劇としただけでなく、ワンシーンを長取りすることで現実のシーンも舞台劇風に見せたかったのではないでしょうか。
薬師丸ひろ子の演技を低く評価する人もいますが、澤井信一郎監督の要求に十分こたえていると思います。
多分、アイドル時代の薬師丸ひろ子の映画を見返して、鑑賞に堪えるのはこの映画だけでしょう。それと彼女がこの作品以降、急激に魅力、人気がなくなって行ったことを
考えると感慨深いです。
角川映画は「制作費より宣伝費に金をかける」など言われてましたが、こんな映画もつくってたんですね。アイドル薬師丸ひろ子の魅力を伝えつつ、完成度の高い映画を作った澤井信一郎監督の手腕に拍手です。
ラスト、薬師丸ひろ子の歌う映画のテーマ曲を聴きつつ余韻に浸ったのでした。
(この曲も薬師丸ひろ子のヒット曲の中でベスト!)