3.《ネタバレ》 スタージェスの西部劇は「日本人の勲章」がベストだが、この作品も俺にとっては充分傑作。
ジョン・フォードが「荒野の決闘」を産んで数十年。
ジョン・スタージェスは史実に基づいて「OK牧場の闘い」を描ききった。
フォードの「荒野の決闘」は人間ドラマが醍醐味であり、全体のテンポやガンファイトは今見るとそれほどピンと来るものではない。
何処までも「静」。
史実と大きく違う描写も多く、ドラマとして強調するための脚色が目立った(アープが髭でドクが髭無しってどういう事なの)。
途中「静」から「動」に移ろうとする場面もあったが、やはりフォードらしい西部開拓民への詩情を唄った物語を貫いた。
本作は「動」にこだわった粋な作りが魅力。
冒頭から「OK牧場の闘い」を唄ったネタバレすぎるリズミカルなオープニングが流れるが、ワイアット・アープを知っている者ならば既知の「常識」であり、ネタバレには成らないだろう(その人限定だけど)。
人間ドラマも途中から掘り下げが進み見応えがある(アープ兄弟の影の薄さは「荒野の決闘」の方がまだ掘り下げがあった)。
ワイアット・アープ演じるバート・ランカスターの職人気質、ドク・ホリデイ演じるカーク・ダグラスの男気がよく描かれており、二人の演技も素晴らしい。
恋人と静かに余生を過ごしたい・・・だが仲間や兄弟の危機を見捨てられない。
保安官としての義務、兄弟としての愛情・・・その葛藤。
ドクも酒に酔っても心までは酔わない。世話になった男の為なら命も賭けられる。
そして何といってもガンファイト。
ジョン・スタージェスは人間ドラマで盛り上げガンファイトで爆発させるのが巧い。
「荒野の七人」「墓石と決闘」「大脱走」は言うまでも無い。
ナイフ、銃撃、決闘!
動いて動きまくる撃ち合い!
全てが終わり、静かに別れを交わす二人の姿が印象的。