2.《ネタバレ》 公開前は、ドリームワークス第一弾にしてはいささか地味ではないか?といわれていたものだが、封切り後は、そんな杞憂も見事に吹き飛んだ。冒頭、列車事故の救出に向かう農夫たちが、核の閃光に飲み込まれる。その一瞬のシーンで、監督のミミ・ロジャースは、核の恐怖と被爆者への哀れみを、観る者の心にしっかりと刻み込んでみせる。「トータル・フィアーズ」とはたいした違いである。その後は、切れ味鋭い演出、圧倒的なスリルとスピード感とによって、全世界を股にかけた、ポリティカル・アクションとしてのスケール感をも全く感じさせないほど、凄まじい勢いでストーリーが展開していく。これはもちろん嬉しい悲鳴である。「007」シリーズさえ霞んで見えるほどだ。そして何よりも、連続する派手なアクションシーンの合間に描かれる、哀しい人間ドラマ、苦悩するテロリストの悲壮な姿が、観る者の心をうつ。繊細さとスマートさが際立つ演出は、監督が女性だからというのは、単純にすぎるだろうか?主演の二人も最高にいかしている。ステンドグラスをぶち抜くラストシーンがまた最高。その辺の、凡庸なハリウッド産アクションとは一線を画する名作。