2.《ネタバレ》 妻投稿■この映画の価値ってなんだろう。原監督のクレヨンしんちゃんが成功して以降、子供向けのアニメや映画にも「(大人のためのわかりやすい)感動」「ストーリー・クオリティー」「哀愁」が求められるようになった今日この頃、この映画にはそうしたものはない事は確かだ。従って、この映画はクレヨンしんちゃん感動作と同じ視点で見る映画ではない。小学校時代に日常現代世界の片隅に確実にあったはずの亜空間世界を冒険する「だけ」の映画なのだ。■だが、その「だけ」の部分に対する拘りは非常に秀逸で、少なくとも「ゲゲゲのきたろう映画版」みたいな嘘物ではない。例えば日常空間から亜空間に誘い込まれていくシークエンス。このあたりを「怖くない」「幽霊が出てこない」と見限るのは実にもったいなく、私はむしろこのシークエンスにこそ最大の楽しみがあると思う(というか今時のすぐウソくさいCGやワープに頼る日本ファンタジー映画には絶対表現できないだろう)。■名作ともいえる絵本「押し入れの冒険」に意図的な感動シーンやストーリーがないように、私は子供映画に必ずしも「クレヨンしんちゃん的感動&哀愁」が必要だとは思わない。この映画は「感動」や恐怖の提供が目的ではなく、とりあえず観客に「小学校の亜空間」を映画の子供たちと一緒にさまよってもらいたかったのだ。