1.《ネタバレ》 現在マスコミを賑わしている防衛省が防衛庁時代の話の映画です。時代は繰り返すといいますが、多分同じような事が防衛省内で行われているのだろうと言う事を意識するとかなり面白いと思います。お決まりの役人と商社の権謀術策に帝国軍人(敗残の)がからみ、所詮は商人に負けてしまうという話にみえました。▼山本薩夫監督は、この映画では、そのプロパガンダ精神を遺憾なく発揮し、捕虜になってからの自尊心を踏み潰すような過酷な扱い、シベリヤ抑留生活、満州事変の日本軍の侵略場面、安保闘争の場面など、直接挿入しなくても良い、あるいはあんなに長々とみせる必要もない画面を多数箇所挿入し、非常に観辛く、違和感を感じました。それ以外は、お座敷での幇間芸をじっくり見せてくれたり、轢死体を「まぐろ」と呼ぶのは知っていましたが、あんなに粉みじんになってしまい、バケツで処理されるなど、今まで観た事もないような事項をみせて呉れました。▼話は、例のごとくで「まあ、そんな物だろう」と納得しました。しかし、丹波哲郎演じる空将補が一番日本の防衛を心配していたのに、たかだかあんな事位で自殺してしまうなんて、やや納得いかないところもありました。あの潔さは大好きです!小沢栄太郎の憎憎しげでかつ頭脳明晰な悪党ぶりは、惚れ惚れするくらいの凄みがありました。田宮二郎自殺に関わっていたというG資金の話もちらりと出ており、彼の遺作としては相当な皮肉に感じられましたが・・・。▼主役の仲代達夫に覇気が感じられづ、いつも充血した眼でいたのは「不毛地帯」の題を表すようにわざとだったのでしょうか?まあ、これだけのエネルギーを感じさせる映画は最近の邦画では観られないので
敬意を表して高得点となりました。