1.《ネタバレ》 極私的2007年映画館鑑賞作品ナンバーワンです。点数はあげすぎのような気もするのですが、すでに極私的2007年映画館鑑賞作品第2位の『長江哀歌』にすでに9点をつけているのでこれに準じました。なぜ1位かって?長女(当時5歳)との映画館デビュー作品だからなのだ(ニコニコ)。というわけで個人的なメモリアル映画としての価値が評価の大半を占めるのですが、幸運なことにこの作品はその記念碑としてうってつけの良作でもありました。極彩色豊かでとにかく綺麗。切り絵とCGを巧みに合わせた映像に感じる懐かしさと新しさの同居は実に新鮮でした。人種差別という深いテーマが内包されており、物語は肌の色の違い、言葉の違い、宗教や文化、生活習慣の違いからくる偏見がいかにバカバカしいものかということに帰結するのですが、押し付けがましい説明が一切無いのがいい。だから子供も楽しめる。一方的にアラブ移民を差別してきたヨーロッパの地と、無知からくる差別を見せてもモスクと教会を受け入れるアラブの地。そして大団円で見せるカップリングの妙はあまりに明け透けで、且つ明瞭に過ぎる気もするけど、このストレートさ、シンプルさがまた良かったりする。きらびやかな大団円シーンは幸福感に溢れ、手を繋いでいた娘は今にもいっしょに踊り出さんばかりに体を音楽に合わせて動かしていました。劇中のアラビア語は訳されずに原語のまま話されていて、そこには「違う言葉」であることを明確にする意図があるらしいが、映画にとって「言葉」の存在意義がさして重要ではないことの証明にもなっている。