72.《ネタバレ》 バレエは詳しくなくとも、耳馴染みのある「白鳥の湖」が、こんなにも、ドラマチックな曲だったとは・・・。
ラスト3分の演出が、珠玉だと思います。
この映画の監督さんは、9.11後のある一人の少年の心の再生を描いた”ものすごくうるさくて・・・”の
監督さんなんですね。最近知りました。少年の心の機微を豊かに、温かい目線で描き出せるのが、この監督の
得意技なのかもしれません。
アニメーションCGなどの映像技術が成熟し、もはや、映画で再現不可能な映像はないのだろうとさえ思う昨今、
だからこそ、こういった作品に、映画としての、より高い価値を感じます。
舞台となったイギリスの田舎の炭鉱町や、そこで働く人々の日常、決して豊かではない厳しい現実の生活を
リアルに描くことで、少年ビリーの夢が、いかに突拍子もない事であるかが冴えました。
「バレエなんか、女がやるもんで、男がやるもんじゃない!」って父親の価値観も、日本のお父さん達のそれと
似ていて、父親として戸惑う姿にクスリとさせられましたが、それだけに、スト破りのシーンは、
同じ子を持つ親として、何度見ても泣かされます。
この映画を最初に観た時は、自分の息子(次男)が、ちょうど、ビリーと同じ年頃のころ。
子育てに悩んだ時期でした。
この映画の時間軸と同じ時が流れ、久々にみたラストシーン、
人生という大舞台に、美しく、雄々しく、見事、羽ばたいて見せた息子ビリー。
その背中の、なんと大きくなった事か・・・。
まぁ、俳優さん、超有名プロバレエダンサーさんですからねぇw
それはわかってはいても、今では、巣立って行った息子達の後ろ姿と重なり、
胸が一杯になります。
嬉しい涙で締めくくれる、本当に、良い作品だと思います。