2.《ネタバレ》 予想と違ってメッセージ性を感じるなかなかいい映画でした。殆ど観ないけどここ最近観た邦画の中ではダントツだと私は感じました。
殺人事件をきっかけにそれに関係する人々の人間性、関係性を描いている群像劇だと思います。出てくる人たちの誰かひとりを悪人にしているわけではないし、美化もしてない。
殺された子はかなりムカツクキャラになってるけど「それでも殺人はいけません」という誰でも知ってることを言いたかったわけではないだろうし、逆に殺されても仕方ないと思わせるわけでもないでしょう、描きたいこと、伝えたいメッセージのためには殺された子が同情されてしまってはそれが伝わらなくなるからじゃないかな?まあ、あえて言うなら悪質健食業者が悪人でした。どういう意図があって悪質業者を絡ませたのかな?
ラストの祐一のとった行動なんですが、あれをすることで光代は逃亡を手伝った共犯者にならなかったわけですね、理解しにくい行動ですが彼のやり方で光代を守ったんだと解釈しました。
俳優たちの演技は文句なしだし、カメラワークもよかったです。
文句と疑問があるなら、床屋のああいうタイプの両親に育てられた娘はああはならないと思うし、あと唯一のファンタジックなシーン、あれで被害者の善悪のバランスをとったのかもしれないけど、他に方法はなかったのかなあ。全編ヒリヒリとした緊張感が凄く良かったのに、なんかスコンと拍子抜け、甘すぎると感じました。
そして音楽がね、なんかメロドラマにありがちでイライラしました。あれならいっそナシでいい。文句はあるけど稀にみる邦画の傑作、完成度の高い秀作だと思います。ああ、びっくりした、良かった。