17.《ネタバレ》 子供のころ観て、Dボウイ展の影響で再見。
あの頃は、あまり良くわからず
ボウイのファンだったから見にいって
それなりに印象には残っていたが、まぁ、そこそこ。
でも、あれからいろいろなことがあって大人になり、
ああ、こういう映画だったんだと。
決して同性愛だけの映画ではない。
こんなの、子供には分かるはずもないよ。
大人になった今、再見して良かったと思います。
追記(2021.11)
先日、「戦メリは名曲なのに、ホモ映画に使われたのが惜しい」という意見を言う人と同席しました。
それはその方の意見なので特に否定もしませんでしたが。
この映画は同性愛を描いた映画ではない。
価値観が異なる人たちがゴッタになる収容所という場所。
日本と欧米。
生死感。
捕囚長のイギリス将校は頑なに日本人を見下し、
ヨノイ大尉は帝国軍人としての誇りを第一にして振舞おうとする。
ただ、忌避すべきはずの同性への恋慕の感情に取り乱しながら。
そしてセイアズの抱擁とキスを受けて、ヨノイ大尉の全てが崩壊した。
軍人であるべしとした自分の価値観や誇りに隠れていた自分自身を知ってしまったから。
自分自身の誇りと愛をこめて遺髪を取り、去っていく。
ハラ軍曹は粗暴で雑なようで、誰にも何も語らず自分自身を見ている。
ローレンスに感じる友情のような感情が自分にあることも、
帝国軍事としてなすべきことをしている非道な自分も。
酔っ払いながら、俺はクリスマスファーザーだと、ローレンスを独断で釈放したハラ軍曹は
帝国軍事として恥ずべき行為であっても、規律違反であっても、
友人でありたいと思っていたローレンスを死なせたくないという自分がしたいことをした。
自死することになったとしても、自分がしたいことを。
酒のせいで思ったのか、そう思いきるために酒の力を借りたのか。
個人的には後者と思いたい。
その結果、ローレンスは生き残り、敗軍の将として明日の処刑を待つハラ軍曹の下を訪れる。
何も出来ない無力感のまま席を立つローレンスに、
強く厳しい、収容所の時のようにハラ軍曹はローレンスを呼びつけ、
キラキラした笑顔で、メリークリスマス、ミスターローレンス、と声をかける。
君が生きている。
メリークリスマス、ミスターローレンス。
俺はクリスマスファーザー。
君の未来を贈ることが出来たから、俺に何の悔もないよ。
メリークリスマス。
と、ハラ軍曹はキラキラした瞳でローレンスを見つめる。
大戦時の日欧の情勢も、愛する者の性別も、個に生きるか組織に従うかも。
価値観はそれぞれに異なる。
ただ、その異なった価値観を越えて、誰かを想ったり与えたりすることはできないのか。
立場を越え、憎しみや痛みを越えた先にひとりひとりが想いあうことができれば。。。