1.《ネタバレ》 世の中には、深刻ぶって、もったいつけて、いかにも高級そうな顔をしながら、実に薄っぺらい「名画」がたくさんありますが、
この映画は、それとはちょうど対極。
薄っぺらい顔をしていながら、とっても深い。
それに、構成も、よくできています。
古沢良太という脚本家は、駄作も多いですが、時々こういう傑作を作ってくれるから目が離せません。
エイプリルフールの日を舞台にした群像劇ということで、いろいろな角度から、徹底的に「ウソ」というものを描いていきますが、その視点の複雑さと深遠さは古沢脚本ならでは。
日本には「嘘から出たまこと」という慣用句がありますが、この「まこと」とは何でしょう?
そもそも「ウソ」とは何でしょう?
僕たちは「ウソ」と「ウソでないもの」を、どのように区別しているのでしょう?
そういうことをたくさん考えさせられました。
「泣かせよう」としているシーンが目白押しで、まんまと大号泣してしまうのですが、
単なるお涙ちょうだいのように見えて、その裏に多層的なテーマが隠れています。だからこそ、これだけ泣けるんですね。
こういう映画って、「どことどこがつながるか」ということが、途中でおおよそ読めてしまうものですが、これは読めなかったです。
「そういうことか!」と、最後までうならされました。
何がウソで、何が本当かなんて、その事柄に真剣に向き合えば向き合うほど、実はわからなくなる。
だったら「幸福」につながるものを「本当」だとしてしまえばいい。
そういうメッセージが、よく伝わってきて、感動しました。
「宮内庁」にビビる人たちの描写が大げさで、ここだけは良くなかったです。