1.《ネタバレ》 ゴシック・ホラーが好きな人は大満足間違いなし。
ラファエロ前派の絵画から抜け出したような衣装や髪型(ネグリジェ姿のミアなんかエヴァレット・ミレイの「花嫁の付添人」そのもの)だし、荒涼とした地にぽつんと建つお屋敷なんてエミリー・ブロンテの「嵐が丘」みたいな閉塞感が漂うし、死の臭いのこびりついた姉弟なんてエドガー・アラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」みたいです。これがまた前半の明るいアメリカの風景(シャーロック・ホームズのような蒸気と熱気に包まれた世界)と対照的でいっそうおどろおどろしい。赤い粘土に浸食されているお屋敷の豪華なことと言ったら……このまま保管してマニア向けテーマパークにして欲しいくらいです。
ただ……たぶん監督の趣味だと思うんですけど、色々とイタイ。
バイオレンス描写がくどいです。それさえなければ満点付けたいくらい好きなんですが、お父さん殺人場面とか、あまりにむごたらしくて直視できませんでした……。あとパンズ・ラビリンスのときも思いましたが、頬にフェティシズムをお持ちなのかしら。顔をさっくりやられると本当に痛そうで痛そうで……耐性がないもんできっついです。
しかも、この映画の人たち刺されると必ず抜くし。ナイフって刺されたらそんな必死で抜くもんですかね。2度痛そうできっついです。
ストーリーはド直球でしたが、どんでん返しとかこういう映画に求めていないので私はちょうどよかったです。
ただ、妙にヨイショしてくるよそ者のあからさまに財産狙っていそうな没落貴族なんかよりは、社交的で堅実で共通の話題もあって家族ぐるみで長い付き合いの医者の方が、いいですよね。それじゃお話にならないんですが、確かに、お嬢さんすぎますよね主人公。
あとお母さんの幽霊も、どうせメッセージを伝えるならもうちょっとわかりやすく言ってあげればいいのになーとか、もうちょっと怖くないような感じに登場してあげたら感動の再開になりそうなのになーとか思いますが、未来のことを話しちゃうわけだから、きっと幽霊さんにも色々と事情があるんでしょうね。