2.《ネタバレ》 アイルランドからニューヨークのブルックリンへの移民、
ブルックリンでの出会いと帰郷後の出会い、2つの国のはざまで揺れ動く、まだ若い1人の女性のドラマ。
序盤の不安に包まれながらのアメリカへの船出と、ラストの確信に満ちた2度目のアメリカへの船出。
「入国管理局ではアメリカ人のように毅然とふるまうのよ。」最初の船出とは立場が入れ替わったかのよう。
アメリカでの暮らしと、最愛の姉の死や帰郷後の出来事を通して、そこには強く成長した彼女の姿がありました。
1950年代、その時代を感じさせる作品の色と空気感が素晴らしく、
何気無い日常を静かに淡々と綴っていきながらも彼女のドラマから目が離せなくなる見事な物語の構成に、
挿入される寮での食卓や、結婚することになるイタリア系移民の男の家族との食卓でのユーモアのある人間描写もいい。
短い言葉を交わし抱き合う母との別れと、何も言葉は要らないラストの夫と抱き合う彼女の姿。
凛として芯の強さを感じさせるシアーシャ・ローナンの目と、その表情がすごく印象的。
彼女が「ラブリーボーン」の女の子であったことは鑑賞後に分りました。