9.およそ正反対とも言っていい性格ながら、なぜか気が合う高校生の二人。当時の思い出と、やがてベトナム戦争で、それぞれ顔と心に傷を負った二人が病院で向き合う姿が、交互に描かれます。顔に傷を負い包帯でグルグル巻きにされたニコラス・ケイジが、包帯を取ると、その顔はトラボルタだった。ってな訳はありませんが。
マッチョ系のニコラス・ケイジに対し、鳥を愛し空を飛ぶことに憧れるマシュー・モディン。それぞれがそれぞれのやり方で、日常から非日常へ、子供時代から青年時代へと成長していく。彼らが住んでいるのは、何だかガラクタだらけみたいな町で、翼を背中につけて飛ぼうとする場所も、ゴミの山。だけどそういうゴミゴミとしたところから巣立ってみたって、どこに楽園がある訳じゃなし、むしろ過酷な現実しか、そこには無い。
時に鳥の視点に立ったような幻想的な描写を交えつつ、色んなヤンチャをやりながら自由を手に入れていった過去と、閉ざされたような病院の現在とを行き来する、その対比が、映画に起伏を与えます。我々は映画を通じて、ニコラス・ケイジとともにバーディ青年の心を追い求め、それでもフイと肩透かししてみせるラストも、お見事。
彼ら二人の世界には、さらに誰も入れないのだけど、それを外部からそっと支えるカレン・ヤング。どっかで観た顔だと思ったら、ジョーズ'87 復讐篇の奥さん役でしたね、あら懐かしや。