1.原作既読です。楽しみにしていました。原作が個人的に映画のように光景を想像しやすい作品だったのですが、スコセッシ監督は原作にかなり近い形で映像化していると思います。宗教であったり、政治的な問題が延々と出てくるわけなんだが、ロドリゴが最後に決断した理由など、(原作も映画も)神の沈黙という問いに一つの結論を結び、一人の人間を描き切った所が素晴らしいと思っています。
また、この作品は日本人の宗教観(日本人は人間を超えた存在を考える力ももっていない。基督神の実体を変えている)であったり、幕府側の認識であったり、普段日本人には取っ付きにくい問題を説得力のある描写ではっとさせられます。
あとは個人的にスコセッシ監督がリスペクトする溝口健二監督を思い起こすシーンがいくつか出てきました。
雨月物語の小舟で移動するシーンへのオマージュ?や処刑する所を遠くから俯瞰する司祭二人のアングル、カメラをパン(水平に旋回)するシーンも多かったです(なんでも溝口にみえてしまってるのはいかん)。あと日本人の演出がしっかりしていた(ラストサムライのような違和感がない)のも良い。
音についても極力無駄を省いており、これもハリウッドなら演出のために意図して省くということはあると思うが、スコセッシ監督は音も重要な描写として考えている点が非常に好感が持てました。
最後に自分は原作を読んでいなかったら、映画の意図する処を理解できぬまま終わっていたかと思います。あと、欧米の方は理解できたのか?どういう感想を持ったのか興味深いですね。