4.《ネタバレ》 やっぱり原恵一監督がいいなぁ、とつくづく思ってしまいました。銀座のホステスVS新宿のオカマの激しい脱力系抗争劇、新宿のオカマバーから健康ランド、郊外の大型スーパー、青森の山中、そしてお台場へと移り変わってゆく舞台、現代の日本の日常を背景に馬鹿馬鹿しくもエキサイティングなドタバタ劇を繰り広げてゆきます。映画としての完成度や感動は後の「オトナ帝国」や「戦国大合戦」に譲るものの、あくまで日常を背景や道具として展開させ続けている点では、いちばん「クレしん」らしさを守った作品だと思います。何故に「クレしん」でそういう事やってしまう?という、原作からのファンだった私が初期の映画に抱いた違和感(ヒーローものだったりファンタジーだったり)は、この作品で軌道修正された感じですね。この映画ではキャラクターがみんないきいきと魅力的なのがいいです。三人のオカマ兄弟も、ホステス軍団とママも、東松山よね刑事も。よねさんなんか、物語に必要な存在なのかどうかさえ疑問な役立たず刑事なんですけど、とてつもない才能のなさを激しい努力で鼻血流しつつ克服してゆく様に感動すら覚えましたよ。この映画でひまわりが初登場という事で、しんのすけのひまわりへの嫉妬と兄としての目覚めが描かれているのも微笑ましく、私にとってはシリーズの中でもとても愛すべき作品になりました。