2.《ネタバレ》 ビリー・ザ・キッドがパット・ギャレットに射殺されるまでの短期間の物語なんですけど、まるで何も起こっていないかのような淡々とした語り口がもう渋すぎです。冒頭のパット・ギャレット射殺シーンをはじめ銃撃戦の描写は、ペキンパーお得意のスローモーションを駆使して迫力は満点です。キッドとギャレットの追跡劇をそれぞれの視点で平行して描く構成も、ペキンパーの円熟した技量の冴えを感じさせてくれます。とくにジェームズ・コバーンのギャレットが、渋さが爆発でもうカッコよいというしか言葉がありません。この人は本当に西部劇では輝く俳優だとしみじみ思いました。いま話題のボブ・ディランですが、俳優としては素人の彼に合わせたキャラクターなので、違和感なく物語に溶け込んでいます。脇を固める助演陣も、いつものペキンパー組に加えて何気に渋くて豪華な面々がそろっています。 これぞペキンパー西部劇の到達点で、その詩情はジョン・フォードを超えたといっても過言じゃないでしょう。