2.《ネタバレ》 黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」と似ている。確かに似てはいるけど、こっちのが喜劇的要素、コミカルであり、また二人のヒロイン、星由里子と水野久美の美しさと可愛さなどもあって私としては好きです。加山雄三と中谷一郎のやりとりも面白い上にそこに絡んでくる佐藤允の木下藤吉郎(後の天下人、豊臣秀吉)とのやりとりがこれまたユーモラスで面白い。加山雄三に斬るぞと脅かされて「わっしが今、ここで斬られてしまったら日本の歴史が変わる。」て、ぶはははは!確かにそうだ!こんなちょとした台詞にまで笑いが弾けていて、流石は岡本喜八監督である。黒澤明監督がアクションの監督なら岡本喜八監督はやっぱり喜劇の監督さんだなあ!というのがこの映画を見て私の感じたことであり、アクションの中にも喜劇の要素を取り入れることによって更に面白さ倍増!常にまじめな加山雄三と対照的なふまじめな二人の男、中谷一郎、佐藤允の二人が素晴らしい喜劇役者ぶりを発揮している。自分の前に歩く加山雄三ともう一人、水野久美とのやりとりの面白さ、更にはこの映画、岡本喜八監督が黒澤明監督を尊敬しているようなシャープな映像とカット割り、更には岡本喜八監督がマキノ雅弘監督の「次郎長三国志」シリーズの助監督を務めていたといこともあって「次郎長三国志」シリーズにも出ていた田崎潤の顔ぶれも見られるなど「次郎長三国志」シリーズ全て見ている私にはそれもまたこの映画を見ていて嬉しかったりもする。そして、やっぱり二人の女性、星由里子と水野久美が凄く魅力的である。これほどまでに魅力的で可愛げのある女を演じている星由里子を他に私は知らない。水野久美にしても同じ年に撮られた「マタンゴ」では感じられなかった女としての色気、可愛さにとにかく飽きることなく面白く見られるこれほどの傑作が、キネマ旬報ベストテンは愚か、誰も投票していないという事が納得出来ない。少なくとも今の時代劇や大河ドラマよりもずっとずっと面白いし、岡本喜八監督ファンは勿論、全ての時代劇ファン、黒澤映画が好きな人にも見て欲しい傑作です。