3.《ネタバレ》 「独立愚連隊」シリーズの2作目だが、舞台となっている戦線が同じなことを除いて前作とのつながりはない作品になっている。前作よりもコメディ色が強くなり、娯楽性も増していて前作よりも面白いだけでなく、岡本喜八監督らしさも今回のほうがより出ていて、喜八監督自ら作詞した主題歌「イキな大尉」のブラックユーモアあふれる歌詞をはじめ、日本軍への風刺もさらに利いているなど、前作よりも吹っ切れて手がけている感じがする。愚連隊である左文字隊が軍旗を取り戻しに行くという筋なのだが、左文字隊のメンバーがみなカッコよく、個性的に描かれていてとてもイキイキとしているのがよく、見ていて本当に楽しいし、痛快。これはマキノ雅弘監督の映画に近いものを感じるが、喜八監督はマキノ監督の東宝「次郎長三国志」シリーズに助監督として参加していたとのことで、マキノ監督の影響もあるのだろうと感じられる。そして、主役の左文字隊メンバーだけでなく、愚連隊と遭遇する敵役である中国軍の部隊もイキイキとしていて、とくにフランキー堺演じる隊長のキャラがすごく立っていて、彼と左文字隊とのやりとりも本当に敵同士なのかと思うほど清々しく、そして微笑ましい。(最初に遭遇したとき、いつの間にかマラソンを始めてしまうのに思わず爆笑。)このフランキー堺演じる隊長のセリフをすべて中国語で通しているのはなかなか立派。喜八監督の映画にフランキー堺は本作と「ダイナマイトどんどん」の2本しか出ていないが、本作を見るともっと喜八作品でのフランキー堺を見たかった気がして少しもったいなさを感じた。佐藤允と加山雄三のダブル主演ということになっているが、前作と続けて見ると、佐藤允の活躍はそれに比べると少なく、加山雄三のほうが主役としては目立っている感じなのだが、デビュー作に近い状態でこの役というのはこの頃から既に二世俳優として期待されていたことがうかがえる。ラストも後味が良く、この後、次の部隊に所属した左文字隊の活躍も見てみたかったと正直に思った。「イキな大尉」も好きなのだが、オープニングに流れる「独立愚連隊マーチ」がとても軽快で、本作の雰囲気に合っていて、思わず口ずさみたくなってしまう。(2024年9月8日更新)