6.自分と生理的に一番波長が合う大好きな監督、成瀬巳喜男の夫婦物ジャンルものの秀作。小津映画での折り目正しい居住まいで、約束事のように静かに微笑み、涙ぐみ、たたずんでいるだけの原節子よりも、この映画や『驟雨』での、ごく自然な感情のままに振舞う「倦怠期を迎えた妻役」の彼女が、数十倍魅力的だと思う自分はやはり少数派なんでしょうか?成瀬映画の「原節子」が語られる事があまりないのは、ちょっと寂しい。彼女の映画、結構数多く見てきたけど、この二本の彼女が人間くさくて好きなんだよなあ・・・。あ、あといま一本、木下恵介監督「お嬢さん乾杯!」の彼女もメチャクチャ素敵でしたね。この映画にも、成瀬映画の紋章みたいに登場してくるチンドン屋と、常連オバサン女優中北千枝子の顔が出てくるだけでなんか嬉しくなる。女流シナリオ作家の脚本だけあって、ところどころに女性目線の台詞が散りばめられていましたね。特に知り合いの娘(島崎雪子)が家に滞在する事になった時の「・・・お米足りるかしら?」と、米櫃を覗き込む原節子の台詞に妙に感心。なんて事はない一言台詞なのになあ・・・。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-11-07 11:25:11) (良:1票) |
5.大傑作。意味のないシーンが一つもなく、心情の機微というもののお手本。 ライスカレーという呼び方が時代を感じさせる。 【Balrog】さん [DVD(邦画)] 9点(2011-09-19 18:06:32) |
4.《ネタバレ》 「傍から見れば理想的な夫婦だが実際は・・・」っていう設定のものは多々あれど、夫婦の心理描写(互いの心の葛藤)、若いては夫婦を取り巻く情緒あふれる人たちをここまで上手に描いた作品はないでしょう。心に沁みる傑作です。原節子が戦争未亡人の働く姿を見て立ち去ってしまうシーンが印象に残ったなあ。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-07-24 23:51:22) |
3.やはり女性を描く天才です、成瀬巳喜男監督は。全てが女性中心に回り、男はその全ての引き立て役に過ぎず、喜びも悲しみも結局は、気まぐれで繊細な女性の心理で変化する。その変わり目、変わる瞬間、変わっていく心情。それらの繊細な心理は男にはわかるはずがないのです。でも、そのわからないはずの心理描写を、映像の中に切り取って、描いてしまう成瀬監督。すごいとしか言いようがないです。歩く様、眠る様、ご飯を装う様。その全てから、女性の深層心理がひしひしと痛いくらいに伝わってきます。辛く退屈な日々から逃げ出し、全ての荷物を降ろしたとき、軽くなったその頭と身体から眺めた景色の中の生活は、何気ない平凡な姿に過ぎなかった。柔らかく自然な俳優たちの演技、平凡を絵に描いたような淡々とした暮らし。時代は違うが、そこにある日本と日本人に深い共感と、爽やかな感動を味わいました。 【ボビー】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-06-25 01:32:36) |
2.成瀬巳喜男はこれを含め5本しか見ていないけど、これが一番好きです。題材がわりと身近なものを扱っていて取っ付き易いし、笑いの要素も多くて楽しく見れます。成瀬監督の作品はこれに限らず、キャラクターがみんな魅力的ですね。小林圭樹と杉村春子がホントに良かったです。これを見終わったあとはしばらく「めし!めし!」・・・って感じで、頭の中はめしのことでいっぱいでした(笑)。 【ゆうろう】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-08-22 09:22:45) |
1.うーむ。「めし」という題名からしてすごいな。成瀬巳喜男という男にやるせなさを描かせたら天下一品だな。時として、悲し過ぎることもあるが、人間の本質が浮き彫りになる。 【たましろ】さん 9点(2004-02-08 18:28:57) |