1.実在のギャング団に取材した作品ながら、史実を追いかけるような内容ではなく、むしろ物語はどこかとりとめが無い。描かれるのは、彼らの気ままな姿。ただしその気ままさの裏にあるのは、南北戦争で失った過去であり、明日をも知れぬ我が身でもあり。「明日」が無ければ、そこには気ままな「今日」しか無い。そして彼らを待ち受ける、クライマックスの銃撃戦。5分くらいに渡ろうかという、その壮絶なスローモーション描写は圧巻で、破滅の美学とも言えるものだけれど、この映画のもつ静謐さもまた、そこには表れている。作品を支配する独特の静けさ。登場人物たちの会話も、言葉以上に、互いの視線によって交わされる。ペキンパーの『ワイルドバンチ』を思い起こさせつつも、また違った新しい西部劇の世界が、ここに拓かれた。