42.《ネタバレ》 本作は痴漢の冤罪を扱った作品ですが、重きを置いているのは、痴漢ではなく冤罪の方。『やってない』事を証明することが、どれだけ難しい事か。そしてこの事件に関わる多くの人が『やっている』事が前提の対応をしてくる。 乗客の男性、駅員、刑事、留置所の警官、検事、判事。女子中学生が痴漢されたと言えば、周りは徹平が痴漢という“悪”であると決めつけて、正義の行いとして、どんどん徹平の立場を追い込んでいく。この、底なし沼に沈んでいくような怖さから、こちらの胃袋までキュッとしてきます。 希望が現れ、それが消えていく絶望感の演出が、えげつないですね。特に2点、被告に対しても公平で論理的。『正しい判決を出してくれそう』って言える大森判事の、突然の異動。その代わりの室山判事の、被告=有罪であることを最短距離で詰めてくるような恐怖。優しい笑顔で被告をどん底に叩き落す、被告とは住む世界が違う感じの冷徹さを感じました。 裁判官を演じた二人の俳優。一見冷たそうな正名さんに、一見優しそうな小日向さん。それぞれ、パッと見の印象と違う役柄を演じさせたのも巧いですね。 駅員室まで来てくれた目撃者の女性。駅員の杜撰な対応で姿を見失い、母親と親友の粘り強いビラ配りの結果、名乗り出てくれた勇気。証言も記憶も、客観的意見もしっかりしていて、観ていて『あぁ、これで助かった』って思った…にも関わらず。こんな重要で確かな証言が、参考意見程度に流されるなんて、絶望しかありません。 本作の主題は痴漢でなく冤罪の方。なので、真犯人も、真実も解りません。実際、徹平は痴漢をしていないのかは、最後のナレーションの通りだと思うし、須藤弁護士が最後まで担当を降りなかった事から、私たちの目には明らかです。 『十人の真犯人を逃がすとも 一人の無辜を罰するなかれ』優秀な弁護士。親身に動いてくれる親友。同じ冤罪の被告。証人。これだけの後押しがあっても、覆らない判決の恐ろしさ。痴漢の嫌疑をかけられた時点でもう、食肉にされる家畜と同じ運命ですね。 【K&K】さん [地上波(邦画)] 9点(2025-01-20 22:43:24) (良:1票) |
41.おもしろ過ぎる。夢中になれる映画。 これが現実じゃなくなればいいなって思う。 【ドンマイ】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-04-16 02:11:43) |
40.《ネタバレ》 「疑わしきは罰する」が今の日本の裁判なんですね。怖い。警察のずさんな決め付けに対し、あそこまで無実の証拠を積み上げたというのに、あっさり有罪。気の毒な被害者(中学生)の心を癒すため被告人にはとりあえず罪を被っていただきます、というかのような判決でした。やりきれないですね。 【次郎丸三郎】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-01-06 14:54:00) |
39.色々考えさせられる映画。日本の検察官、裁判の仕組みはなんてクソなんだ。 このことに限らずえらい人達が決めた意味のわからない制度やルールはたくさんある。税金を無駄にして各地に作られる誰も使わない施設とかもそうだ。えらい人達ってある意味頭がものすごく悪い。勉強ばっかりしてたから悪知恵ばっかり付いちゃったんかな。 映画が長いことだけが不満。 追加:実物の検察官はこの映画以上に本当にクズ。 起訴するかどうかを検察官個人の独断で決められる強力な権限を持ち、 気に入らないやつは自分の意見だけで起訴して裁判になれば有罪確率99.8%という本当に異常な国。 できることなら法曹界とは一生関わりたくないね。 これだけおかしい状態なのに検察も裁判所も 誰も何も言わず、何も変えようとしない。 やつらの悪さはきっと死んでも直らない。 悪人が反省もせずにさっさと認めるよりも 無実の人が無実だと言う(=当たり前のこと)ほうが何百倍も苦しむことになるなんて そんな理不尽で腐った組織は1秒でも早く滅びてしまえばいい。 【虎王】さん [映画館(邦画)] 9点(2012-12-05 23:13:55) |
38.《ネタバレ》 痴漢冤罪のストーリー。 一貫して無罪を主張する男、加瀬さん。 ともすれば『ホントはやったのか?』ってところを曖昧にして大どんでん返しといった演出もありえるところですが(実はわたしも初見の時はそう疑って観ていました)、この作品はそんなツマラナイ演出や過激な法廷バトルなどではなく、逮捕された瞬間から、駅事務所、警察、留置所、検察を経て、起訴、法廷、判決と、余すことなく丁寧に描いています。 最大の山場、『判決』においても見事な演出でした。 過剰な演技、演出は一切抑え、ラストの加瀬さんの心の声は重いテーマでありつつも充分なエンタテインメント性を帯びていたと感服しました。 現代社会に生きるものは必ず観ておいたほうがいい良作です。 【ろにまさ】さん [DVD(邦画)] 9点(2012-10-28 07:58:51) |
37.いらん世話ではありましょうが、冤罪無くす為必死こいて対策考えてみました。天井から吊り革たくさん垂らしてもらえばよいのです。なんだったら100本でも200本でもよいのです。とにかく私ら疑われたくないんだから。とにかく私ら万一に備えて常時バンザイしておきたいんだから。とにもかくにも捕まるところをプリーズミー。 まずは吊り革たくさん垂らしてみてもらえませんか まずは身近なところで西鉄さんから着手お願い致します。 【3737】さん [DVD(邦画)] 9点(2011-10-26 21:28:43) (笑:1票) |
36.《ネタバレ》 たしかに君はやってない!「反省の情が全く認められない」って言われても、やってないものをどうやって反省のしようがあるんだ?事件の被害者は同情も集まるが、この世で冤罪ほど不条理なものはない!裁判とは「有罪か無罪かを、集められた証拠でとりあえず判断する場所に過ぎない」とは恐ろしいことだ。先日発車間際にあわてて飛び乗った車両があろうことか女性専用車だった。満員だったので両手は扉にぴたっとバンザイ状態だった。身も凍る3分間だった。 【きーとん】さん [DVD(邦画)] 9点(2010-07-27 22:29:01) (笑:2票) |
35.この手のテーマの映画は初めて観ました。痴漢冤罪について全く無知であった私でしたが、後にネット等で色々と調べてみると、人事じゃないなという気がして、現代社会における理不尽さと歪みを再認識させられました。冤罪の数は全体からするとそれほど多くはないのかもしれないけれど、それでもたとえ一人でも存在する限りそれは見逃してはならない事実の一つと思う。そもそも痴漢行為そのものを何とか撲滅して欲しい。痴漢行為を働く男性は、同じ男性として許せない。いろいろ考えさせられたよい作品だと思います。 【ピンフ】さん [地上波(邦画)] 9点(2010-03-09 03:30:32) |
34.裁判員制度に参加するためのPR映画かとおもいきや中身はしっかりしていてとても勉強になった。映画を楽しむというよりは勉強している感じで「なるほど、そうかぁ」「へぇ」といった感動でした。どこまでがタイトルかとおもったが結局最後は映画でした。 【Jane.Y】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-09-26 09:10:19) |
33.司法、つまり法律を司るという行為が、実は真実の究明とは無縁であるという事実を、見事に表現した秀逸な作品です。日本という土壌を考慮してたまたま痴漢事件がテーマとなっていますが、映画「J.F.K.」にも匹敵する迫真の実証過程は物語としても面白く、ハリウッド映画の人気裁判ものと互角に戦えます。日本映画界を応援して10点をつけたかったのですが、新旧裁判官の演技がいかにも白々しく、マイナス1デス(^^)。 【windance】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-09-02 20:25:43) |
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32.ものすごーくシリアスな映画。笑えない、どころか、本当に怖ーい。男性レビューワーの方々が「電車に乗れない」「怖い」と書いておられますが、女性側としても、もう女性専用車両か、混雑してない電車以外乗ったらだめなのかなぁと思わざるを得ないような。以前、私が「やめてください!」と言ったおっさんは、「もうしません。すみません。」と言いながら走り去って行きましたが、「ボクじゃない!」と言われていたら引き下がるしかないのかなぁー。横にいる夫は「もうそんな心配いらんのじゃない?」と人をバカにして笑っています(笑)。人を笑うより、自分が電車に乗ったとき、気をつけなさいよ!と思います。ほんとに見応えがあって、最後まで肩に力を入れて見入ってしまいました。監督すごいねー、や加瀬亮うまいねー、とか、映画を評する以前の問題として、というような「日本の司法は・・」「電車は・・・」とか言いたくなる映画。ってことは、監督がすごい、ってこと? |
31.日本の刑事司法制度には代用監獄(最近では代用刑事施設って言うそうですが)というのがあり、自白の強要などが行われ易く、取調べの可視化が必要だと外国からも注文つけられています。それから判検交流といって、裁判所と検察には人事交流があり、そのことに多くの批判があります。また、裁判官の数が少なすぎて裁判官一人が抱える負担が大きすぎるということが問題とされています(映画の中で判事が居眠りしてましたが、私も実際に傍聴で何度もあんな光景見たことあります。)。そして、起訴された場合無罪になるのは奇跡的であり、ほとんど検察が被疑者を裁いているに等しいという現状があります。かように日本は司法制度全般に他の先進国と比べ特異な歪みがあります。そうした状況が何十年も変わらず続いているわけです。・・・・以上のようなことを大学で法学を勉強すると教わります。たぶん世の中の学生は皆こうしたことを知り、腹を立てると思うのです。しかし、俺がこんなことに腹立てても仕方ないし、俺なんかには何もできるわけないし・・・と思ってそこで終わりです。みんなおかしいと思ってるのになぜか何も変わりません。本作はその挫折して行き場のない青臭い憤りをそのまま映画にしたような作品です。その憤りをみんなに共有してもらおうとした作品です。そうすることにより本気でクソ真面目に諦めの先に突き抜けようとした努力と熱意の表れです。昔のサヨの学生運動の気取った勘違いの「正義」ではなく、漱石の唱える素朴な「道理」の実現を目指しているような愚直な映画です。映像や技術にいちゃもんつけるのは野暮に思えるような真っ直ぐな映画です(それがイヤな人も多いんでしょうけど・・・)。これには偽善者の私は心から拍手とエールを送らざるを得ません。この直球はど真ん中ストライクです。まあ、私の場合は自己満足の正義感に酔っているのかもしれませんけど・・・・。 【しったか偽善者】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-04-07 23:18:23) (良:1票) |
30.何のエンターテイメント性もありません。 それが非常に良い味を出していると思います。 ここまで淡々と描けるのはこの監督だったから、と私は思います。 【tamami】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-02-26 15:18:40) |
29.ひたすらリアルです。義務教育でも体育の授業の1時間を、護身術及び誘導尋問回避テクニックに費やすべきでしょう。 |
28.《ネタバレ》 「冤罪」をテーマに日本の刑事裁判制度の問題点に光を当てた傑作。冤罪の不条理さが伝わってきたことはもちろんのこと、逮捕~裁判までの流れを丁寧にわかりやすく描かれていたことに監督のこだわりが感じられました。ただあえて難点をいえばこの被告人は親のおかげで経済的な面では恵まれていたということ。弁護士費用の事=お金が無かったらどーなってたの?、的な事をちょっとはふれてくれていたら完璧だったのになあと思いました。とりあえず「最高裁判所裁判官国民審査」の投票は真剣にやらなきゃならんわなー。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-06-30 00:06:56) |
27.《ネタバレ》 前作から10年振りということだが、この監督のキレが全く鈍っていないことに、まず驚いた。比較的地味なテーマだか、巻頭からすぐに話に入り込めてしまった。何年も掛けて暖めたテーマだけに、監督の主張や作家性が全面に出ていたが、押しつけがましいところは無く、教えてもらうところが随所にあった。役所広司は三谷作品の壊れた役柄より、こういう正統な役のほうがいいのではないかと思う。ともかく、身近な小さいテーマをこれほど大きく見せる映画作家はこの人ぐらいだと思うし、次作はもう少し早めに作ってもらいたいと思う。 【rosebud】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2008-05-14 21:13:23) |
26.いやはや、いろいろ考えさせられる映画でした。 【K】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-05-11 20:27:23) |
25.最初からどんどん引き込まれました。ホラーですよ、これ。 【eureka】さん [地上波(邦画)] 9点(2008-03-29 13:15:23) |
24.この監督さんは一流の職人さんだと思う。 司法の理想と現実 それを美しい構図と構成に纏め上げている。 【准将】さん [地上波(邦画)] 9点(2008-03-24 16:13:50) |
23.民法での放送後いっきにレビューが増えました。そのなかにやけに監督の向けた日本の裁判の問題点や現状に対しての批判が多い気がします。監督がこの作品でスポットライトに当てた日本法曹の現状はあくまで一角であり、全ての角度から日本を眺めた作品を作るならば某三部作以上の超大作にさえなりかねません。でも逆にコレだけの人たちの裁判に関する関心や興味を起こさせただけで充分な作品なんでしょうね。ただ、あくまで一角です。罪のないニート君が日本法曹の有罪率99.9%の悪循環に飲まれた一件です。この映画が捉え切れていない死角の部分が果たして僕たちを救うほど重要なものなのかは定かではありませんが 【よーじろー】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-03-10 20:12:12) |