1.《ネタバレ》 溺愛していた息子が殺され、張り詰めた気持ちを宗教に傾けていく主人公に、気味の悪い緊迫感を覚えました。この何気ない空気の流れが、いつ変化していくのか、ハラハラしながら観てしまいました。
張り詰めた気持ちを入信することで現実を受け入れた主人公は、刑務所で既に入信して安堵している犯人を見て困惑し、今度は憎む相手を「神」に変えていくわけです。
誘惑される信者、徹夜の祈祷会で割れた窓ガラス……空を見上げ「神」に挑戦する彼女の気持ちが痛いほど伝わり、胸が苦しくなります。
世界最多の宗教数を誇る日本で、こんなテーマの映画は作れませんよ。絶対に!
私には登場人物全ての描写が限りなくリアルに見えましたが、特定の宗教をしている人たちには受け入れられないかもしれません。
誘拐殺人犯の娘が相変わらず町にいるのは疑問に思いましたが、ラストで、主人公の切り落とした髪が、陽の当たる場所と影になる場所にさりげなく舞っていくシーンに、どう考えていいのか戸惑いも感じました。
いかにも、この監督らしい作品です。