9.《ネタバレ》 とても素晴らしい作品だった。
湖とその周辺の風景がまた美しい。「絵画のようだ」とは正しくこれです。
それとともに人間模様も見事に描かれていたと思う。
親子関係が徐々に和解してゆく様は、見ていて心に通じるものがある。
両親に対する蟠りというのが誰にだってあると思う。
「父親は威圧的だった」「母親の愛が足りなかった」などなど探せばどんどん出てくるものである。
そういった不満の無い人は本当に心の強い人か、あるいは幸せもんかだと思う。
それをいい年して親に向かって「あの時あれしてほしかった」どうのこうのというのは流石に大人気ないのではあるが、秘めたまま不満を抱いたまま生きてゆくのも本人としては大変に辛いのでしょう。
そりゃ人間関係、恋愛関係、仕事関係にもいろいろと支障が出てくると思います。
この映画の中で、娘の恋愛が上手くいかなかったり、それで婚期が遅れたりするのを見ていると、やっぱり娘の中での蟠り、心の閊えがある気がしてしまう。
そういった原因ともなりえる親子の不仲が徐々に解決されてゆくさまは、見ているこちらまで癒されるのだ。
自分の心の中のモヤモヤをこの作品の中で発見でき、この作品中での関係が解決されてゆくにつれ、自分の中のモヤモヤも少しきれいになったと思う。
(そう、自分の心がこの湖のように澄んで綺麗になるセラピー映画だ)
この映画の中の素晴らしい老夫婦を見ると、僕も自分の人生について少しだけ考えます。
実は一番探しているものは、身近にあったのだ。
自分の手に届く範囲で、まだ見えていないものが必ずあるはずだ。
と、この作品は自分に教えてくれました。
(当時書いた感想文を少し編集)