1.《ネタバレ》 ”怖い、気持ち悪い、容赦がない”の3拍子揃った巨人たちのインパクトが災いしてか、日本ではまったく話題にならなかった本作ですが、これが壮絶な面白さでビックリこきました。おとぎ話をベースにした前半の冒険活劇では、ほのぼのとした古典の空気に現代的なスリルや笑いが加えられており、21世紀仕様の『ジャックと豆の木』が見事に仕上がっています。悪い婚約者に、かっこいい騎士に、怖い巨人にと定番の要素を寄せ集めつつも、見事なバランス感覚でまとめられた脚本が絶妙だったし、ひとつひとつの場面を丁寧に作り上げるブライアン・シンガーによる演出も、予定調和の世界を飽きのこないものにしています。古典の新解釈としては、ほぼ完璧ではないでしょうか。。。
以上の前半パートだけでも充分に満足のいく映画だったのですが、本作の真の見せ場は後半パートでやってきます。『進撃の巨人』を思わせる大チェイスを皮切りに人類vs巨人の大決戦が始まるのですが、延々と続く合戦のテンションの高さには圧倒されました。城の防御が細かく考えられていたり、アイテムを登場させるタイミングが絶妙だったりと、脚本・演出も絶好調。さらには、物語の世界と観客の世界を繋いでみせたエピローグにおける含みの持たせ方も面白く、頭から尻尾の先まで完璧にまとめられた満足度の高い娯楽作に仕上がっています。これは必見です。。。
最後に、何かと批判の多いタレント吹替ですが、本作の吹替はなかなかよくできていました。ウェンツ瑛二とガレッジセール・ゴリはさすがの芸達者ぶりで主役キャラを無難にこなしているし(特にゴリはプロの声優並みの巧さ)、平愛梨もお姫様らしい上品な雰囲気を出せています。常にこのレベルを維持できるのであれば、タレント吹替も歓迎できるんですけどね。なあ、『プロメテウス』。