1.《ネタバレ》 何らかの方法で過去の両親に会う人の話は、映画でも時折見かける。『メトロに乗って』や『異人たちとの夏』やらを思い出す。殊に『メトロ』は(これは主に原作の方にだが)、かなり感動させられたのだが、本作はそれらに勝るとも劣らないと思う。(我ながらなんてチンケな表現なんだ)
特に、母親との最後の会話での(悦子さんは)「生きる理由です」というシーン。親不孝だった私には特に、母親に「あなたは生きる理由だ」などと言える幸せは想像できない。というか、それが「幸せ」だと思う事すら今まで考えられなかった。
このシーンでの、大泉の顔が明るくなる描写。写実的にはオカシイと分かってはいるが、心情的に納得できる、そうだろうなと思う、この「表現」が素晴らしい。
そして「生きる理由」を知った主人公の、自信に満ち溢れた力強さを感じる、堂々とした最後のマジックの晴れの舞台も見事!代用だった白い紙のバラが、本当のバラに変わるマジックの意味。そしてこの手の「お約束」を消えるマジックに掛けて魅せるさま!本当に拍手喝采させられた。
このシーンがあまりに素晴らしく、最後の父親との再会シーンは無くても良かったのではとも思っている。